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肩こりと関係の深い筋肉は首すじと背中の筋肉群です。首すじや肩のまわりには骨や関節をつつむように20以上もの大小さまざまな筋肉があり、4kgほどもある重い頭を支えながら、曲げたり回したりという動きをします。また左右の腕を動かしたり、姿勢を維持する役割もあります。これらの筋肉のこわばりは血流を悪化させ、こりや痛み・しびれなどを引き起こす原因となります。
日常の運動をコントロールするには、かなりの筋力を必要とし、その役割を担っている筋肉の代表的なものが、鎖骨の上から肩にかけてある僧帽筋(そうぼうきん)、肩から上腕の外側にある三角筋(さんかくきん)、背中から首と肩にかけて広がる肩甲挙筋(けんこうきょきん)などです。
肩こりは、これらの筋肉が疲労してこわばったときに起こる不快感です。
1)長時間のデスクワークやパソコンなどで前屈みの同じ姿勢で作業を続ける(うつむき症候群)ことによる筋肉の緊張(こり)がおこる
2)筋肉の緊張が続くと、筋繊維中の血管を圧迫して血流障害を引きおこす
3)血流障害は酸素の供給を妨げ、エネルギー源のブドウ糖の不完全燃焼をおこし、乳酸などの疲労物質が産生される
4)血流障害のために疲労物質が血中に蓄積しやすくなる
5)乳酸などの疲労物質が筋肉の神経終末を刺激するようになる
6)神経の刺激は脊髄から脳へ伝わり、大脳で痛みとして認識され痛みの感覚を生じる
7)痛みの感覚に伴って、筋肉内の神経が興奮するために、反射的に筋肉がさらに緊張して硬くなる
この1)から7)のサイクルの悪循環で肩こりが悪化します。
不思議なことに肩こりは日本人には非常に多いものの、欧米人にははっきりとした肩こりの症状はありません。また肩こりは圧倒的に女性に多くみられます。これは筋力の差で、欧米人は日本人よりも骨格が大きくがっしりとしており、さらに筋肉も日本人よりも発達しているために肩こりを起こしにくいと考えられています。女性に肩こりが多いのも同様の理由からです。
また、65歳から74歳の年齢を境に肩こりを訴える人は減少します。肩こりのピークは30歳前後から定年までのハードに働き時期に一致しており、高齢になるにつれてデスクワークなどうつむいて仕事をする機会が減り、ストレスから解放されることも理由としてあげられます。骨や筋肉のからだのつくりからみると、年齢とともに組織の老化が進み、筋肉や関節の組織が硬くなるために動きが制限されるようになると頚椎が安定し、骨や筋肉に負担が加わる大きな動きも自然と減るようになります。こうして肩こりが少なくなっていくと考えられています。
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