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・溶血およびその関連事項
古典的な記載では、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の症状として早朝の赤褐色尿(ヘモグロビン尿)が特徴とされます。大量の溶血では急性腎不全を起こし透析が必要となる場合があります。溶血に伴い高頻度に貧血を認めますが、これは骨髄不全の合併による影響も加わっています。検査値は溶血性貧血の所見、すなわちヘモグロビン濃度の低下、LDHの上昇、ハプトグロビンの低下、骨髄不全の影響が少なければ網状赤血球増加が認められます。
直接クームス試験が陰性であることで、自己免疫性溶血性貧血と区別できます。溶血による遊離ヘモグロビンが一酸化窒素(NO)を吸着するため、平滑筋の収縮が起こると考えられており、しばしば嚥下困難と上胸部の痛み(食道痙攣)や男性患者では勃起障害をきたします。
・骨髄不全
先行病変として再生不良性貧血を伴う頻度はわが国では37.8%と米国の29%に比べてやや高く、骨髄異形成症候群(MDS)の頻度は両者とも5%前後です。一方、再生不良性貧血の経過中に1%以上PNH血球を認める症例は35〜52%と非常に高く、そのうち10%程度がPNHに移行するとの報告があります。
・血栓症
血栓症は他の溶血性貧血にはないPNHに特徴的な合併症で、その多くは深部静脈血栓症の形をとります。頻度が高く重篤な血栓部位として、腹腔内(Budd-Ciari症候群、腸間膜静脈)や頭蓋内(脳静脈)があります。機序は十分に解明されていませんが、発症はPNH血球の割合や溶血の程度に相関しており、抗C5抗体であるエクリズマブの投与により抑えられることから、補体の活性化が関与していることは確かです。米国では初発症状の19%が血栓症であるのに対しわが国では6%に過ぎず、明らかに罹患率に人種差があります。
・その他
白血病に移行する症例が1〜3%程度ありますが報告によりまちまちで、必ずしもPNH血球から悪性化が起こるわけではありません。またMDSからの移行が5%前後、MDSの合併率が3〜4%とされていますが、MDSと白血病化の関連ははっきりしません。
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