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発作性夜間ヘモグロビン尿症と先天性GPI欠損症との違い

PNH症例では、体細胞の突然変異により血球は正常の細胞とPNH細胞がミックスした二峰性のパターンを示しますが、IGDは全細胞でGPI-APが低下するので正常者に比べてピークが左にシフトしたパターンとなります

発作性夜間ヘモグロビン尿症と先天性GPI欠損症との違い

グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)生合成と輸送に関与する遺伝子は27個あり、それらの変異で発症する劣性遺伝性疾患である先天性GPI欠損症(inherited GPI deficiency:IGD)が次々と見つかっています。現在までに21遺伝子の変異による症例が国内で約40例、海外を合わせると約300例報告されています。
変異する遺伝子のステップや変異による活性低下の程度によって病態が異なりますが、IGDでは知的障害、運動発達障害、小脳障害、てんかんなどの神経症状を中心に特異顔貌、手指や足趾の異常、難聴、内臓奇形など広汎な症状を示します。個体発生にはGPIは必須なので、IGDにおいては多くは変異によって活性の低下した部分欠損症です。

一方、GPIが完全欠損しても血液細胞の増殖や分化には影響しないので、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)におけるPIGA欠損細胞は完全欠損細胞であることが多く、IGDでは血球上のDAFやCD59は低下しないので、溶血発作は起こりません。IGDは末梢血の顆粒球のフローサイトメトリー検査でGPI-APであるCD16の発現が低下していることでスクリーニングすることができます。PNH症例のフローサイトメトリー検査では、体細胞の突然変異により血球は正常の細胞とPNH細胞がミックスした二峰性のパターンを示しますが、IGDは全細胞でGPI-APが低下するので正常者に比べてピークが左にシフトしたパターンとなります。

※PIGA:Phosphatidylinositol glycan anchor biosynthesis, class A
X染色体上に存在し,グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーをコードする遺伝子

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