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中性脂肪(triglyceride:TG)の測定法は、一般検査室では主に酵素法によりTG濃度を測定しますが、脂肪細胞に由来する空腹時の血中遊離グリセロール(free glysrol:FG)をTG値として測りこむか否かの違いにより、国内外では2種類のTG測定法が混在しています。
わが国におけるTG測定法は、FGを消去する日本臨床化学会(Japanese Society of Clinical Chemistry:JSCC)勧告法の基づく標準化対応法(FC消去法)が広く普及しています。一方、欧米ではFGを消去せず総グリセライドを定量する測定法(FG未消去法)が採用されています。米国疾病予防センター(CDC)は本来FGをTGに含めないCarlson変法を基準にしていましたが、2012年に同位体希釈ガスクロマトグラフィー質量分析法(isotope dilution-gas chromatography-mass spectrometry:ID-GC-MS法)で総グリセライドを測定する方法を発表しました。
FG未消去法はヘパリン惹起性のリポ蛋白リパーゼ(LPL)活性の影響を認めないため、ヘパリン治療患者や維持透析患者の血清TG評価において有用です。しかしながら、FG未消去法ではFG消去法よりもBMI(body mass index)に影響を受けやすい、すなわち肥満者ではTGが高値となり、食後にはTGが低くなります。空腹時では内臓脂肪が分解され遊離脂肪酸が肝臓へ動員されるとともに、FGも血中に分泌されます。すなわち、FG未消去法で測定すると真のTG値よりも+バイアスになります。メタボリックシンドロームの診断基準項目であるTG値の測定にとって、この両者の測定法の違いは影響すると推察されます。一方、食後には遊離脂肪酸の動員がないためFGも血中にあまり分泌されないので、食後には本来のTGは上昇しますがFGは低下するためにFG未消去法で測定した場合、食後高脂血症を見逃す可能性もあることに留意すべきです。
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