') ?>
多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease:PKD)は両側の腎臓に大小の嚢胞が多発し、嚢胞が増大するにつれて腎実質の萎縮と間質の線維化が生じ、腎機能が低下します。常染色体優性遺伝形式を示す、常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycytic kidney disease:ADPKD)と常染色体劣性遺伝岸城を示す常染色体劣性多発性嚢胞腎(autosomal recessive polycytic kidney disease:ARPKD)に分類され、ADPKDが大部分を占めています。ADPKDは人口2,000〜4,000人に1人とされており、遺伝性腎疾患のなかでは患者数が最多です。ADPKDの原因遺伝子としてPKD1、PKD2が報告されており、PKD1が80〜90%を占め、PKD2に比べて早く進行します。ADPKDでは60歳で約半数の患者が末期腎不全となりますが、腎機能の低下に先行して約60%に高血圧を認めます。嚢胞の増大により腎臓内の血管系が圧拝され、虚血となったネフロンからのレニン分泌の亢進や、交感神経の活性化が原因と考えられています。
ADPKD診断基準
・家族内発生が確認されている場合
1)超音波断層像で両腎に各々3個以上確認されているもの
2)CT、MRIでは両腎に嚢胞が各々5個以上確認されているもの
・家族内発生が確認されていない場合
1)15歳以下ではCT、MRIまたは超音波断層像で両腎に各々3個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合
2)16歳以上ではCT、MRIまたは超音波断層像で両腎に各々5個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合
※除外すべき疾患
多発性単純性腎嚢胞
尿細管性アシドーシス
多嚢胞腎・多嚢胞性異形成腎
多房性腎嚢胞
髄質嚢胞性疾患・若年性ネフロン癆
多嚢胞化萎縮腎(後天性嚢胞性腎疾患)
常染色体劣性多発性嚢胞腎
高血圧の患者では、腹部エコーなどによる画像診断で腎の形態異常の有無を確認することが重要です。
通常は検尿異常を呈することが乏しく、進行すると軽度蛋白尿を呈します。また、嚢胞出血による肉眼的・顕微鏡的血尿を呈することがあります。
ADPKDは環状アデノシン1リン酸(cAMP)により、嚢胞上皮細胞の増殖が促進され、バソプレシンは腎尿細管でのcAMP産生を亢進させます。
▽多発性嚢胞腎 のキーワード
▽次の記事、前の記事
サイトについて
このサイトは「健康診断・血液検査MAP」の新規記事を掲載しています。 過去の記事はこちらから閲覧できます。当サイトのRSS
新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP2