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1)概要
陰イオン交換樹脂は作用機序もはっきりしており、重大な副作用の少ない薬剤です。また、脂質異常症治療薬として初めて、大規模臨床試験によって冠動脈疾患発症率低下作用を証明した薬剤です。しかし、コレスチラミンは1回あたりの用量が多いことや副作用のため内服がしづらく、スタチン系薬剤開発以降は使用頻度が低下しています。ただし、わが国で開発されたコレスチミドはコレスチラミンより活性が強く、コレスチラミンより内服しやすくなっています。
2)作用機序
陰イオン交換樹脂は、小腸において胆汁酸などの陰イオンに荷電した物質と結合して、その腸からの吸収を抑えます。陰イオン交換樹脂自体は吸収されないため、胆汁酸を吸着したまま糞便中に排泄されます。こうして胆汁酸の腸肝循環が阻害されて、肝内の胆汁酸濃度が低下するため、コレステロールを利用した胆汁酸の合成が促進されて肝内コレステロール量が低下します。また、コレステロールと胆汁酸のミセル形成も抑制されて吸収されるコレステロール量が減るため、肝内コレステロール量が低下します。これらにより、肝臓でのLDL受容体の数が増加します。
3)効果
コレスチラミンは、1日8〜12gの投与で約15%の血清TC低下作用があります。コレスチミドはコレステロール負荷ウサギに投与すると、コレスチラミンと比べてTC低下作用が約5倍の活性を有することが分かっており、臨床試験では1日3gの投与で21%のLDL-C低下、8.9%のHDL-C増加作用が示されています。
※ミセル (micelle):一方の物質(混ざり合わない液体のうちの一方または両親媒性物質、またはその混合物)が粒状に会合し異なる分子が層状に分布している構造。両親媒性物質がミセルを形成すると液滴の分散系が安定化する。
4)副作用
非吸収性薬剤であるため、重篤な副作用は臨床試験上認められていませんが、消化器症状は最も注意が必要な副作用であり、特に便秘や腹部膨満感が高頻度に認められます。また、スタチン系薬剤やジキタリス、ワーファリン、サイアザイド系薬剤の吸収を阻害するため、用量調整が必要になる場合があります。
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