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脂質異常症のなかの高脂血症の一般的な分類としてWHO分類(Fredrickson分類:表1)が使用されます。血中で増加しているリポ蛋白の種類によってI〜V型に分類されています。これにより治療方針を決定しやすくしています。
表1:高脂血症を示す脂質異常症の表現型分類
・I型
腸管由来のカイロミクロンの代謝が遅延して血中に増加することで、高TG血症を生じる病態です。血清TG値は1,000mg/dLを超えるものがほとんどです。原因としてはリポ蛋白リパーゼ(lipoprotein lipase:LPL)欠損症やアポC-II欠損症、LPLに関連する蛋白異常などの遺伝性疾患に基づく場合、あるいはこれら蛋白質に対する抗体による場合(後天性)があります。合併症として急性膵炎があります。
・IIa型、IIb型
IIa型は血中に低比重リポ蛋白(LDL)が増加することで高コレステロール血症を呈し、IIb型はLDLと超低比重リポ蛋白質(VLDL)が増加することで高コレステロール血症と高TG血症を呈します。高LDL-コレステロール血症は、動脈硬化性疾患の主要な危険因子です。
LDLコレステロール値は、基本空腹時採血のデータで140mg/dL以上を高LDLコレステロール血症と診断します。ただし、TG値が400mg/dL以上の場合、あるいは食後採血の場合は、LDLコレステロールの代わりにnon-HDLコレステロール=(TG-HDLで計算)を使用し、その基準はLDLコレステロール値+30mg/dLとなります。
II型の病態を引き起こす原因として、家族性高コレステロール血症(FH)や糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群などがあります。
・III型
VLDLからLDLへの異化過程における中間産物である中間比重リポ蛋白(intermediate-density lipoprotein:ILDL)が増加する病態です。IDLはVLDLレムナントとも呼ばれるリポ蛋白です。遺伝性疾患としては、アポ蛋白Eの異常で発症する家族性III型高脂血症が存在します。肥満を伴う糖尿病などではIDLが増加する症例が多いとされています。
・IV型
血中にVLDLが増加する病態です。肝臓でのVLDL合成促進やLPL活性低下によるVLDL異化低下により発症します。飲酒・肥満・インスリン抵抗性状態(糖尿病やメタボリックシンドローム)、クッシング症候群などで認められることが多い。
・V型
血中にカイロミクロンとVLDLが増加する病態です。LPL活性の低下やVLDLの合成亢進によりおこる病態であり、IV型に移行する場合が多い。原発性脂質異常症としては家族性V型高脂血症があり、続発性脂質異常症としては糖尿病や肥満・飲酒などがあります。合併症としては急性膵炎があります。
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