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1)概要
魚類に多く含まれるn-3多価不飽和脂肪酸のイコサペント酸エチル(ethyl icosapentate:EPA)やドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)の摂取は、心血管イベントを抑制することが知られています。わが国では95%を超える純度の高いEPAのエチルエステル化製剤が製造されています。当初は閉塞性動脈硬化症に伴う自覚症状の改善に使用されましたが、その後脂質異常症治療薬として使用されるようになりました。
2)作用機序
EPAは脂肪酸の合成、ひいてはTG合成を抑制し、高TG血症を改善します。また、EPAがPPARαのリガンドとなることが報告されており、PPARαの活性化により肝臓でのβ酸化が亢進するとともに、新規脂肪酸合成が抑制されると考えられています。
アラキドン酸(arachidonic acid:AA)からは血小板凝集作用と血管収縮作用があるトロンボキサンA2(thromboxane A2:TXA2)と、血小板凝集抑制作用と血管拡張作用があるプロスタサイクリン(prostacyclin:PGI2)が生成されます。一方EPAからは、血管内皮でPGI2同様の作用を持つプロスタグランジンI3(prostaglndin I3:PGI3)が生成され、血管拡張します。また近年、抗炎症性物質であるレゾルビンやプロテクチンも、n-3脂肪酸から作られることがわかってきました。血小板では血小板凝集作用がほとんどないTXA3が産生され。TXA2と競合することで血小板凝集作用を抑制し、これにより血栓抑制作用も認められると考えられています。
3)効果
EPAの内服(4g/日)により、空腹時TGが20〜40%減少し、HDL-Cは軽度上昇します。またEPAの内服(1g/日)でも、心血管イベントの発生抑制作用が認められています。
4)副作用
主な副作用に、皮膚症状、出血傾向、消化器症状、肝機能障害などがあります。血小板凝集抑制作用があることにより、出血傾向や出血性病変のある患者には禁忌であり、手術や観血的な処置を行う場合には休薬期間を設けることが望ましいとされています。
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