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免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病(immune[idiopathic]thrombocytopenic purpura:ITP)は、血小板膜蛋白に対する自己抗体の発現により、おもに脾臓における血小板の破壊が亢進し、血小板減少をきたす自己免疫疾患です。種々の出血症状を呈し、通常、赤血球系や白血球系に異常を認めず、骨髄での巨核球産生低下も見られません。ITPにおける血小板減少の機序としては、血小板膜上の糖蛋白であるGPIIb/IIIaやGPIb/IX媚態する自己抗体が産生され、脾臓など網内系組織において血小板の破壊が亢進すると推定されています。
ITPの治療にはこれまで、副腎皮質ステロイド、アザチオプリンなどの免疫抑制薬の投与あるいは血小板破棄の舞台となる脾臓の摘出が行われてきました。1998年イタリアのGasbarriniらがH.pylori陽性のITP8例に対しH.pylori除菌療法を行い、全例で血小板の増加を認めたと報告して以来H.pyloriとITPの関連について多くの報告が続きました。この病態はH.pylori CagA抗体との免疫交差反応が考えられています。
一方で血小板の回復は除菌1週後からと、除菌治療が抗体産生に影響を及ぼす時期より早期に認められます。これには除菌による単核球表面のIgG受容蛋白(Fcy receptor)の発現変化により、血小板貪食能が低下する可能性が示唆されます。
ITPの除菌治療の有効性には民族性があり、日本・イタリア・東アジア・中南米では50〜60%で血小板の増加を認めますが、北米やイタリア以外の欧州では有効率が10%以下になります。この民族差についてはH.pyloriの菌株の違いによる細菌要因や宿主要因なあどの可能性が考えられますが、まだ明らかになっていません。
「ITP治療ガイドライン」でも、ITPの診断確定後にまずH.pylori検査を行い、陽性例に対しては治療の第一選択としてH.pylori除菌療法を行うことが推奨されています。
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