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C.difficileによる感染症のほとんどは腸炎です。近年では、臨床現場でのCDIの認知度が高まり、早期診断ができるようになったこともあって、偽膜性腸炎のように内視鏡所見で発見される症例は少なくなりました。
典型的には、感染症治療で抗菌薬を投与中あるいは投与後に、下痢・発熱・腹痛などの症状が出てくるという臨床経過をたどります。CDIは、通常は治療反応性は良いが再発しやすいことが特徴で、一部に難治例があります。また、ごくまれに腸管穿孔、巨大結腸症、イレウスのように、重篤な経過をたどって、他の疾患との鑑別が必要となる症例もあります。
CDI発症の第一歩は、腸管内にトキシン産生性C.difficileが侵入することです。通常の腸内細菌叢であれば発症しませんが、抗菌薬の使用や、宿主の免疫機能の低下などで細菌叢が乱れるとC.difficileが侵入しやすくなります。C.difficileは、無症候性キャリアとの直接・間接接触や、医療環境に存在する芽胞によって汚染された手指などを介して、経口的に摂取されます。消化管に侵入した芽胞は、腸管内で発芽し、増殖・トキシン産生に至りCDIを発症します。
近年、宿主と腸内細菌の協力のもとで行われる胆汁酸代謝が、CDIの病態形成に寄与していることがわかってきました。宿主で作られる一次胆汁酸は、消化管に分泌された後腸内細菌の代謝を受けて二次胆汁酸となりますが、一次胆汁酸(タウロコール酸、コール酸など)と低濃度の二次胆汁酸(デオキシコール酸など)にはC.difficile芽胞の発芽作用があるのに対し、高濃度の二次胆汁酸には殺菌作用があります。安定した胆汁酸代謝ができる腸内環境では、高濃度の二次胆汁酸があるため芽胞が発芽しても直ちに殺菌され、発症には至りません。しかいながら、抗菌薬や免疫の低下により乱れた腸内細菌叢では、胆汁酸代謝にかかわる細菌群も乱れており、一次胆汁酸と二次胆汁酸の組成にも影響がでてきます。
腸内に侵入、増加したトキシン産生株は腸管上皮障害を起こし、下痢を生じます。下痢はC.difficile自体の拡散に有利に働き、体外に排出されても芽胞として長期にわたり環境に存在し、汚染された環境や種子を介してさらに別の宿主に移っていきます。
腸肝外CDIの頻度は非常に少なく、菌血症、腹腔内感染症、肛門周囲腫瘍、外傷後の創部感染症、尿路カテーテル感染症の報告があります。
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