') ?>
海外を中心に、特徴的な病原因子をもち、重篤な臨床経過を示す症例から分離される株があります。この代表例がPCRリボタイプ027株(027/BI/NAPI株)で、2000年代以降、北米ならびに欧州を中心にこの株のクローンが拡散。この株によるアウトブレイクでは、一般的にCDI発症リスクが低いと考えられてきた医療機関の利用歴がない人でも発症し、巨大結腸症などを伴って高い死亡率を示しました。この株はトキシンAとBの産生亢進、バイナリートキシン(C.difficile transferase:CDT)産生、芽胞形成志向、tcdC遺伝子アベラント(遺伝子変異)、フルオロキノロン耐性という細菌学的特徴をもっています。
その他の病原性が高い株として、PCRリボタイプ078株も知られています。これらの株は、わが国では現在問題となっていないものの、海外渡航者や外国人観光客の下痢症や、重篤なCDIの症例では念頭におくべきです。
特にトキシン産生亢進とCDTについては、特殊な株を疑う場合に解析する際にも重要となってきます。C.difficileは、トキシンAとBの遺伝子発現を抑制する働きをもつ遺伝子(tcdC)をもっています。ところが、PCRリボタイプ027株では、tcdC遺伝子内に変異が認められ、トキシンAとBの発現を抑制することができません。それだけでなく、この株ではCDTという第3のトキシンを産生します。CDTは腸管上皮細胞に異常アクチンを産生させ、その結果腸管上皮細胞の構造に乱れが生じます。さらに細胞の表面の構造が変わることで、C.difficile菌体の接着に有利に働きます。CDT単独での病態へのかかわりは現在のところ明らかではありません。
▽Clostridioides difficile病原因子 高病原株の特徴 のキーワード
▽次の記事、前の記事
Clostridioides difficile病原因子 トキシンA・トキシンB | Clostridioides difficile感染症(CDI)の病態
サイトについて
このサイトは「健康診断・血液検査MAP」の新規記事を掲載しています。 過去の記事はこちらから閲覧できます。当サイトのRSS
新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP2