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C.difficile菌株タイピング

Clostridioides difficile感染症(CDI)では、アウトブレイクがおきることや、重篤な症例がみられることから、疫学的な背景に迫るために、菌株タイピングを行うことがあります

C.difficile菌株タイピング

Clostridioides difficile感染症(CDI)では、アウトブレイクがおきることや、重篤な症例がみられることから、疫学的な背景に迫るために、菌株タイピングを行うことがあります。タイピングを行うことにより、菌株の地域的な特徴や、経時的な変化を捉えることができるため、日常的診療にフィードバックできる情報が手に入ることがあります。タイピング手法には、非常に専門的なものから簡単な器具でできるものがあり、目的に応じて使い分ける必要があります。
PCRリボタイプは、最も広く利用されている手法です。標準的な手法として論文や調査などで利用されているため、過去との比較や海外での動向との比較の際にも客観的な評価ができます。

C.difficileでは16S rRNAと23S rRNA遺伝子に挟まれた領域(internal transcribed spacer:ITS)の塩基サイズの多様性を利用して分類しています。同領域をPCR後、キャピラリー電気泳動を行うことで増幅産物のプロダクトサイズを算出し公開されているWEBRIBO databaseにそのデータを入力すると、3桁で表されるPCRリボタイプが判明します。わが国では以前よりPCRリボタイプ018が多く、アジアの近隣諸国とも異なった特徴があります。2000年代に欧米でアウトブレイクを起こしたPCRリボタイプ027、078の割合は近年では漸減傾向にあります。
パルスフィールドゲル電気泳動(pulsefield gel electrophoresis:PFGE)法は、薬物耐性菌のアウトブレイクの時にも利用されるもので、制限酵素により断片化したDNAのPFGE上のパターンをもとに菌株間の相同性を評価します。通常80%を超える相同性は同一型とみなされ、北米での調査を中心に行われています。

その他C.difficileでは、制限酵素によるDNA断片化で相同性を評価するREA(restriction endonuclease analysis)法、トキシン遺伝子多型を制限酵素処理とPCRを組み合わせて区別化したトキシノタイプ、7種のハウスキーピング遺伝子の塩基配列により分類するシーケンスタイプ、slpA遺伝子の可変領域により分けるslpA法が用いられます。
上記のような解析手法は一般的な検査室では実施が難しく、解析経験・技術がある施設と協力するか、外部委託を行うことが現実的ですが、多くの施設で利用しやすいC.difficile様のPOT(PCR-based ORF)法の試薬が市販され、今後の知見が蓄積されていくことが期待されます。POT法は、PCRと電気泳動により増幅産物のパターンで菌株を分類する方法で、サーマルサイクラーと泳動槽があれば解析することができますが、海外では普及していないため、比較検討することが難しいという課題があります。

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