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CDIの診断と便性状評価

便の性状評価にはBristol Stool Scaleなどの客観的指標を用いてスコア化し5〜7の性状の検体を用いて検査を行うことが望ましい。

CDIの診断と便性状評価

CDIのほとんどが腸炎としてみられ、下痢を主症状とするほか、時に腹痛や発熱を伴います。腸管内腔の所見として、偽膜や出血が観察されることがあり、まれに腸管穿孔、中毒性巨大結腸症、麻痺性イレウスを伴うことがあります。CDIの発症には腸管へのC.difficileの侵入が第一段階で、一般的にはCDI患者との接触、医療機関の利用、無症候性キャリアとの接触が主な伝播経路です。CDIの発症は、トキシン産生株であることが必須です。さらに、腸内細菌叢を撹乱するような抗菌薬や医療行為への曝露、宿主の抗体産生を含む免疫状態が関係します。CDIは抗菌薬関連下痢症に含まれ、一部は下部消化管内視鏡検査で偽膜を形成しますが、一方で無症候性キャリアも存在することに注意が必要です。

CDIは一般的に「下痢などの症状を呈し、糞便検査でC.difficile毒素ないし毒素産生性のC.difficileが陽性、または内視鏡的あるいは病理学的に偽膜性腸炎の所見を認めるもの」と定義されます。
わが国では、2018年日本感染症学会と日本化学療法学会がCDI診療ガイドラインを作成しています。ガイドラインはCDI診断のためのフローチャートを、通常診療時とアウトブレイクなどの流行期で分けていることが特徴です。アウトブレイクなどでは、グルタミン酸脱水素酵素(GDH)擬陽性のの可能性や保菌者を含めたより広範囲な発生状況の確認、リボタイピングなどの分子疫学的手法を用いた評価が必要となることから、より高い感度を有する核酸検査(NAAT)および培養検査を積極的に施行することを推奨しています。
通常診療とアウトブレイクのどちらの場合でも、CDIの診断のためには患者の便の性状評価が大切となります。便の性状評価にはBristol Stool Scaleなどの客観的指標を用いてスコア化し5〜7の性状の検体を用いて検査を行うことが望ましい。便の性状評価が重要とされるのは、検査結果のみでは定着しているC.difficileを区別できないためです。また、トキシンが検出された場合でも、もう一度臨床評価と合わせて最終的にCDIと診断します。

※Bristol Stool Scaleによる性状分類
1:硬くてコロコロの兎糞状の便
2:ソーセージ状だがでこぼこした便
3:表面にひび割れのあるソーセージ状の便
4:表面が滑らかでやわらかいソーセージ状の便
5:はっきりとした断片のあるやわらかい半固形の便
6:端がほぐれて境界不明、不定形の泥状便
7:固形物を含まない液体状の便 

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