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PSAは前立腺癌の診断、治療効果判定、再発診断に用いられるバイオマーカーとしての有用性は傑出していますが、PSA値がカットオフを超えた場合、確定診断のために侵襲性のある前立腺生検は必要となります。できる限り不必要な生検を減らすために、生検の適応症例を絞り込むためのバイオマーカーの研究が進んでいます。
これまでF/T比(遊離型PSA/総PSA)が保険適用となっていますが、擬陽性率が高く診断精度は十分ではありません。前立腺癌に特異的なバイオマーカーとして以前から[-2]proPSA(PSAのN末端に2個のアミノ酸が付いた前駆体)を組み入れたプロステートヘルスインデックス(phi)が注目されており、わが国の臨床性能試験で前立腺癌診断マーカーとしての有用性が証明され2021年11月に保険収載されました。
PSAはプロテアーゼ活性を有するヒト・カリクレイン(hK)・ファミリーに属する糖蛋白質で、生理的には精液の液状化に関係しています。癌組織は血管を破壊・侵襲しながら増殖するため、前立腺組織中のPSAが血管内に漏れることから、前立腺癌の早期診断マーカーとして広く臨床使用されています。PSAの5〜40%は生理活性が失活しており、血中では遊離型PSAとして存在するか、プロテアーゼ活性をもったPSAは血中でプロテアーゼ阻害物質と複合体を形成します(結合型PSA)。癌組織では基底膜欠落、血管侵襲などで活性型PSAが血管内に漏出する割合が高くなり、総PSAに占める結合型PSAの割合が高くなることから、F/T比は前立腺癌診断補助マーカーとして臨床使用されてきました。
また、前立腺組織の腺腔内には[-7]proPSA(PSAに7つのアミノ酸が結合)が分泌されますが、hk2によってアミノ酸が外れ活性型PSAに変換されます。proPSAは正常前立腺組織内にも存在しますが、癌組織ではhK2濃度が低下しており、proPSAが腺腔内で蓄積します。特にproPSAの最終型である{-2}proPSAが蓄積しやすく、微小脈管浸潤により血中に漏出するため、より癌特異的なバイオマーカーとして期待されています。
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