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腫瘍組織由来の血中遊離DNAの存在は、1970年代以降報告がありましたが、癌細胞のゲノム上の異常を指摘したctDNA検出は1990年代から始まりました。現在につながる本格的な研究開発が始まったのは200年代以降、VogelsteinらによるデジタルPCRの応用以降と考えられます。
遊離DNAは細胞死の結果。細胞外に放出されているため、通常のゲノムDNAと異なり約170塩基対に分解されています。半減期は極めて短く、分娩後の胎児由来遊離DNAの消失動態から16.5分、術後のctDNA消失動態から約2時間と推定されています。健常人、癌患者を問わず、血液1mL中には平均3,000ゲノムに相当する遊離DNAが含まれています。
したがって、血液1mLあたりのctDNAは0〜3,000ゲノム相当になりますが、進行癌患者のなかにはctDNA量が著しく増加する症例もあります。ctDNAの生成メカニズムはわかっていませんが、核内DNAは細胞死以外で細胞外に放出されることは考えられないので、細胞死の結果であることはいえます。原発巣だけでなく、全身のあらゆる腫瘍のDNAを含んでいます。また。体内半減期が他のバイオマーカーより極端に短いことから、説教的に除去するメカニズムがあると考えられています。
一般的に腫瘍量とctDNA量は相関していますが、腫瘍塊があってもctDNAが出現しない症例もあります。最近の初期肺癌に関する研究で、壊死病変、リンパ浸潤、高細胞増殖(Ki67index高値)により、ctDNA出現頻度が上昇するっことがわかっています。進行癌の患者では高頻度(70〜100%)でみられますが、初期癌では出現頻度は低く、抗癌剤などによる細胞破壊に伴い出現するctDNAもあります。
一般的な癌胎児性抗原(CEA)や糖鎖抗原19-9(CA19-9)などの癌バイオマーカーは、癌細胞の表面上の蛋白質かあるいは分泌蛋白です。ctDNAは量以外に、塩基配列が重要な情報である点が、他のバイオマーカーと決定的に異なります。また、半減期が他の生体物質と比較して極めて短いため、動態速度が速い。時間分離能は高いが、DNAの元の組織はわからないため空間分離能はないといえます。
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