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理化学研究所では細胞由来NKT細胞(iPS-NKT細胞)を開発し、安定したNKT細胞製造が可能となりました。通常のT細胞が多様性に富むT細胞受容体(TCR)を発現し、HLA(human leukocyte antigen)に提示されたペプチド抗原を認識するのに対して、NKT細胞は不可変なTCR(インバリアントTCR)を発現し、MHC(major histocompatibility comolex)クラス1様分子であるCD1dに提示された糖脂質抗原を認識する自然免疫系のリンパ球です。
NKT細胞が認識する糖脂質抗原として、α-Galactosylceramide(αGalCer)が有名です。抗原を認識し活性化したNKT細胞は、パーフォリングやグランザイムといった様々な殺細胞因子の産生により標的細胞に対して直接的な細胞障害活性を示します。同時にインターフェロンγなどのサイトカインを介してNK細胞やT細胞を活性化するとともに、樹状細胞の成熟化を介してT細胞免疫を賦活化します。
がん治療薬は患者の生存率を改善していますが、一方で虚血性心疾患・不整脈・心不全・心筋炎・血管病・高血圧などのさまざまな心血管毒性を引き起こします。そのなかでがん治療薬の使用を制限する最大の心血管毒は左心室機能障害であり、がん治療関連心機能障害(cancer therqeutics-related cardiac dysfunction:CTRCD)と呼ばれています。
CTRCDの発症はがん治療における大きな課題となっており、CTRCDを適切に予防し、管理することが不可欠となっています。
CTRCDに関する予防と治療に関する臨床試験が次々と報告され、国際的なガイドラインや方針説明書も発表されています。
PSAは前立腺癌の診断、治療効果判定、再発診断に用いられるバイオマーカーとしての有用性は傑出していますが、PSA値がカットオフを超えた場合、確定診断のために侵襲性のある前立腺生検は必要となります。できる限り不必要な生検を減らすために、生検の適応症例を絞り込むためのバイオマーカーの研究が進んでいます。
これまでF/T比(遊離型PSA/総PSA)が保険適用となっていますが、擬陽性率が高く診断精度は十分ではありません。前立腺癌に特異的なバイオマーカーとして以前から[-2]proPSA(PSAのN末端に2個のアミノ酸が付いた前駆体)を組み入れたプロステートヘルスインデックス(phi)が注目されており、わが国の臨床性能試験で前立腺癌診断マーカーとしての有用性が証明され2021年11月に保険収載されました。
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