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HbA1cの代謝が赤血球の生成と代謝に支配されているのに対し、アルブミンは生成後直ちに血中に放出され、血管や皮下を循環しながら一定のクリアランスで代謝されます。この代謝機構の差により、グリコアルブミンと血糖の関係はHbA1cの場合と少し異なります。
血糖を反映する期間はHbA1cの約1/2になります。すなわちHbA1cが赤血球寿命である過去120日間の血糖のみを反映するのに対し、グリコアルブミンは理論的には無限の過去の血糖までが寄与することになります。ただし、実質的には過去2カ月までの血糖が寄与すると考えられます。
グリコアルブミンの最大の特徴は血糖変化に対する追随速度が速いことです。血中アルブミンの半減期は14〜20日であるため、グリコアルブミンの半減期も14〜20日となります。その結果、血糖コントロールが変化すると、2〜3週でその変化を正確に把握することができます。
グリコアルブミンの第2の特徴は、HbA1cが異常値を示す場合に、HbA1cの代替マーカーとなることです。HbA1cは赤血球寿命の影響を受けるため、多くの疾患(※)や状態によって影響を受けます。赤血球寿命が短縮するとHbA1cが低値となり、赤血球寿命が延長するとHbA1cが高値になります。
肝硬変や腎不全では赤血球寿命が大きく短縮するためHbA1cも大きく低下します。鉄欠乏性貧血では赤血球寿命が代償的に延長するため、HbA1cが高値になります。しかし、鉄剤を投与すると幼弱赤血球が増加し、HbA1cが低値になります。注意を要するのは、血糖不安定例や血糖コントロール高度不良例でHbA1cが相対的に低値を示すことです。異常ヘモグロビン症の場合はHbA1cが低値になることが多いのですが、基本的にヘモグロビンがHbAではないので、HbA1cで血糖コントロール状態を把握することは困難と考えられます。
そのため、HbA1cが異常値を示す症例では、グリコアルブミンを測定することが必要です。グリコアルブミンによる血糖コントロール状態の判定は、
換算HbA1c=グリコアルブミン/4+2
という換算式を用いてHbA1cに変換すれば、通常のHbA1cと同じスケールで血糖コントロール状態を判定できます
(※)HbA1cに影響する疾患および状態
A)HbA1cが低値を示す場合
1.赤血球寿命の短縮
妊婦
慢性腎不全(尿毒症、血液透析)
溶血性貧血(自己免疫性、破砕性、膜異常)
肝硬変
1型糖尿病、血糖コントロール高度不良
2.赤血球の産生亢進
貧血の回復期(鉄剤、EPOの開始)
B)HbA1cが高値を示す場合
1.赤血球寿命の延長
鉄欠乏性貧血
2.赤血球の産生低下
EPOの減量時
C)異常ヘモグロビン症
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