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1)作用機序
栄養素が消化管を通過する際に腸管の内分泌細胞から分泌される消化管ホルモンをインクレチンといいます。ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)は、N端から2番目のアミノ酸がアラニンあるいはプロリンであるペプチドから、N端から2個短いペプチドへと分解する酵素です。インクレチンであるGLP-1とGIP(gastric inhibitory polypeptide)のN端から2番目のアミノ酸はアラニンであるため、DPP-4により分解されます。DPP-4阻害薬は、主として血中活性型GLP-1を増加させます。GLP-1は膵β細胞のGLP-1受容体に結合し、細胞内cAMP濃度を上昇させることで、インスリン分泌を促進させます。cAMPを介するインスリン分泌促進には、Caを介する経路の活性化が必要なため、DPP4阻害薬によるインスリン分泌促進には血糖依存性があります。すなわち、血糖値の低い時にはインスリン分泌促進効果が弱く、逆に血糖値が高いときは効果が強くなります。また、インクレチンの膵外作用から、食欲抑制や体重減少などの多面的な作用が期待されています。
2)副作用
・低血糖
DPP-4阻害薬の単独使用では低血糖は少ないが、特にSU薬との併用においては低血糖が高頻度に認められるため、注意が必要です。
・消化器症状
インクレチンには腸蠕動運動抑制する作用があるため、悪心、嘔吐、便秘、腹痛などの消化器症状を起こすことがあります。また、イレウス、胆嚢炎の報告もあります。特にα-グルコシダーゼ阻害薬との併用で注意が必要です。
・膵癌、膵炎
近年の大規模臨床試験により、DPP-4阻害薬が、膵癌をはじめとした癌を増やす危険性は少ないと考えられています。膵炎に関しては増加傾向を示した報告もあり、慎重に経過観察する必要があります。
・その他
まれですが、間質性肺炎や水疱性類天疱瘡が報告されています。DPP-4がT細胞などの免疫系鎖相棒の表皮に発現しているCD26と同一であることが影響している可能性があります。
3)臨床検査値の変動
・アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇
大規模臨床試験のメタ解析から、膵炎リスクの上昇が報告されています。一方、わが国をはじめ各国の実臨床データからは結論には至っていません。
・総コレステロール、LDL-C低下
ASSET-K(A sutdy of Safty and Efficacy of DPP-4 inhibitor in the Treatment of type2 diabetes in Kanagawa)研究においては、開始時と4年後の比較で、総コレステロール、LDL-Cが低下していたが、薬剤の変更もあり、DPP-4阻害薬の効果かどうかは不明です。動物実験では、GLP-1増強作用を介して小腸からの中性脂肪、コレステロールやapoB48の分泌を減少させることや、消化管でのコレステロール吸収を抑制することなど、コレステロール代謝にもかかわっている可能性が示唆されています。
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