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肝炎ウイルス感染やアルコール摂取、脂肪沈着などで肝細胞が壊死して脱落すると、局所に微小な出血が生じ、血小板凝集とフィブリン形成で一時的に傷がふさがれます。障害幹細胞・類洞内皮細胞や血小板からはケモカイン・トランスフォーミング増殖因子β(transfoming growth factor-β:TGF-β)、PDGF(platelet-derived growth factor)などのメディエーターが産生されます。これらに呼応し、末梢血中の好酸球、リンパ球、マクロファージなどがインターロイキン-I、IL-6、IL-8、腫瘍壊死因子-α(tumor necrosis factor-α:TNF-α)やマトリックス分解酵素(matrix metalloproteinase:MMP)などの生理活性物質を産生しつつ、炎症局所に集積します。さらに肝類洞に存在する星細胞・類洞内皮細胞やKupffer細胞が活性化して一過性の局所炎症を増幅させます。
星細胞は、炎症時にはα-SMAに代表されるマーカーを発現するようになり、筋線維芽細胞様の細胞へと形質を変え、TGF−βの産生・活性化を介したI・IV型コラーゲン産生、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelal cell growth factor:VEGF)の産生、組織メタロプロテアーゼ阻害因子(tissue inhibitor of matrix metalloproteinase:TIMP)の分泌を行います。これによって炎症局所に基底膜様構造を構築し、肝細胞再生の土台を作り、血管新生を伴いながら組織修復を行います。
・マトリックス分解酵素MMP:MMPはカルシウム依存性酵素で、コラーゲンを含むECM物質を分解する働きを有しています。MMpは間質コラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼ(MMP-1、8、13)、基底膜の分解酵素であるゼラチナーゼ(MMP-2、9)、プロテオグリカンコア蛋白の分解酵素であるストロメリシン(MMP-3、10)と細胞膜に存在するMT-MMP(MMP-14、15)に大別されます。
・組織メタプロテアーゼ阻害因子(tissue inhibitor of matrix metalloproteinase:TIMP)
TIMPはMMPに特異的に結合することで、その活性を阻害する役割があり、現在までに4種類(TIMP1〜4)が同定されています。すべてのMMPは1種類以上のTIMPに阻害を受けており、MMPの活性はそれぞれのTIMPとの結合の強さや阻害の違いによって複雑に調節されています。
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