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NASHの診断・予後予測に期待される血中マーカーTSP-2

THBS2および血清TSP-2は、NAFLD/NASHの診断、予後予測に寄与する新たなバイオマーカーとして期待されます

NASHの診断・予後予測に期待される血中マーカーTSP-2

非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)はメタボリックシンドロームの肝臓における表現形と言われるように、肥満患者の増加に伴って近年急増し、その有病率は世界人口の約25%にも及んでいます。病態が進むと肝硬変や肝癌を引き起こし、肝線維化の進展が生命予後に大きく影響することが知られているため、NAFLDの中でも進行性のNASHを適切に診断するとともに、肝線維化高度進展例を正しく拾い上げる必要があります。

しかし現状では、NASH診断や肝線維化スクリーニングのゴールドスタンダードは肝生検であり、侵襲性が高いことから、非侵襲的な診断法の開発が求められています。
2021年6月、札幌市で開催された第57回日本肝臓学会総会で、大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学の木積一浩氏は、シンポジウム「NASH診療の現状と今後の課題」で、NAFLD/NASHの非侵襲的な診断・予後予測マーカーとして、トロンボスポンジン2(TSP-2:細胞外マトリックスや細胞表面の受容体に作用する蛋白質の一種)を発見したと発表しました。

今回の検討により、THBS2(トロンボスポンジン2遺伝子)発現量、血清TSP-2値によって、NASHの診断や、線維化進展例の拾い上げ、疾患活動性の評価、肝癌および肝硬変合併症の発症予測などにつながる可能性が見出されました。THBS2および血清TSP-2は、NAFLD/NASHの診断、予後予測に寄与する新たなバイオマーカーとして期待されます。

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