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ステロイドは生体内に存在する内因性生理活性物質であり、その量は厳密に制御されていますが、外部から”薬”として投与されると、生体産生量異常のステロイドに各臓器が暴露されることになり、生理反応以上の薬理作用を示します。
ステロイドは分子量300〜500の脂溶性物質であり、生体内ではアルブミンなどの血漿蛋白に結合した状態で存在します。血漿蛋白に結合していない遊離型ステロイドは血流に乗り、各臓器に到達後、高い脂溶性のため細胞膜を通過します。細胞膜を通過した後、ステロイドは細胞質でグルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor:GR)と結合します。GRはほぼ全ての細胞に存在する核内受容体であり、GRはリガンドであるステロイドと結合した後、構造変化をおこして細胞質から核内に移行し、転写因子として標的遺伝子の発現を調節します。さらにステロイド-GR複合体は、それ自体が直接遺伝子発現を調節するのみならず、他の転写因子との相互作用やエピジェネティックな作用により、遺伝子発現を調節します。この「ステロイド-GR複合体による多彩な経路を介した遺伝子発現調節」がステロイドの薬理作用の中心です。ステロイドはGRを介して約10%以上の遺伝子発現に影響を与えるため、全身において種々の反応が起こります。
一方で、細胞質に存在するGRを介さないステロイドの作用についても近年明らかになっています。細胞膜上に存在するステロイド受容体(mGR)にステロイドが結合することで、T細胞における刺激伝達抑制やマクロファージや好中球の貪食作用抑制といった非ゲノム的作用が発揮されることが報告されています。ステロイドによるGRを介したゲノム的作用は、作用発揮までに数時間要しますが、mGRを介した非ゲノム的作用は分単位で発現すると考えられています。
・ステロイドの薬理作用
血液成分:好中球増加、好酸球・リンパ球減少
炎症反応:血管透過性・白血球遊走・炎症性サイトカインの産生・CRP低下
免疫系:抗体産生・細胞性免疫低下
糖代謝:糖新生増加、糖利用減少
脂質代謝:血中脂肪酸・血中コレステロール増加
電解質:カリウム排泄亢進
骨:骨形成低下、骨破壊亢進
内分泌:CHR(corticotroin-releasing hormone)・ACTH(adrenocorticotropic hormone)分泌低下
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