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高尿酸血症、痛風など高い尿酸値を呈する疾患はよく知られていますが、その逆の病態である低い尿酸値を特徴とする「腎性低尿酸血症」はあまりよく知られていません。「腎性低尿酸血症」は、日本人に多く2017年には腎性低尿酸血症診療ガイドラインが世界に先駆けて発表されました。
尿酸は、ヒトにおいてATPやDNAなどのプリン体が体内で代謝分解を受けた後の最終産物です。ヒトは進化の過程で尿酸代謝にかかわる尿酸酸化酵素(urate oxdase)の遺伝子が変異して機能を失ったため、ヒトでは尿酸は分解されず高値を示します。尿酸は難溶性であり、析出すると痛風発作の原因となります。一方で尿酸は強力な抗酸化作用をもつといいわれており、血中にはビタミンCよりも多く含まれます。
腎性低尿酸血症(renal hypouricemia:RHUC)は腎臓の近位尿細管細胞における尿酸再吸収輸送体分子の機能不全に起因する遺伝性疾患であり、文字どおり低尿酸血症がおもな特徴です。尿酸再吸収輸送体遺伝子の変異のうち、URAT1/SLC22A12の変異によるものをRHUC1型、GLUT9/SLC2A9の変異によるものをRHUC2型と呼びます。日本人およびユダヤ人に多い遺伝性疾患であり、日本人における有病率は男性で0.2%、女性で.04%と推定されます。なおRHUCは、先天性プリン体代謝異常に伴うものや悪性腫瘍に起因するものなど、二次性要因による低尿酸血症は含まれません。
RHUCはそれ自体では無症状の疾患であり、健診などで偶然派遣されることが多く、運動後急性腎障害や尿路結石などの合併症を契機に見出されることもあります。
血清尿酸値が低値(特に2.0mg/dL以下)を示す場合にRHUCを疑います。診断においては、血清および尿中の尿酸値(UA)とクレアチニン値(Cr)を測定し尿中尿酸排泄率(FEua:fractional excretion of uric acid)が上昇していることを確認します。
FEua(%)=尿中UA×血清Cr/血清UA×尿中Cr・×100
FEua基準値:5.5〜11.1% RHUC患者では数十%以上を呈する
血清尿酸値が」2.1〜3.0mg/dLの場合には軽度のRの可能性があるため、家族歴の聴取や尿酸値の再検査を行います。また、運動後急性腎障害では、急性腎障害の症状があるにもかかわらず血清尿酸値は基準値、もしくはやや高値程度にとどまることが多い点が特徴で原因不明の急性腎障害の鑑別にも有用です。
RHUCでは腎尿細管上皮における尿酸の再吸収不全があり、尿中に排泄される尿酸が増えて析出しやすくなります。血清尿酸値が低いにもかかわらず尿路結石がみられるのはこのためです。高尿酸血症や痛風症例と同様に、RHUCでは尿酸結石やシュウ酸カルシウム結石が多く認められます。
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