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AKI(急性腎障害)の原因としては腎前性のAKIと急性尿細管壊死(acute tubular necrosis:ATN)が多く、この両者を鑑別することが臨床上重要となります。Perazellaらは、尿沈渣が腎前性AKIとATNの鑑別に有用であることを示しており、顆粒円柱がない時はATNの可能性は低く、腎前性AKIの可能性が高い。また、顆粒円柱が10個/LPF以上の時、あるいは尿細管上皮細胞が6個/HPF以上の時には腎前性AKIはなかったということを報告しています。一方で従来から用いられている尿化学マーカーであるナトリウム排泄量、あるいは尿素排泄量は限定的であったとしています。
また入院中に発症したAKI症例について、尿沈渣の尿細管上皮細胞数と顆粒円柱数でスコアリングし、スコアが高い(尿細管上皮細胞、顆粒円柱が多い)場合は憎悪する可能性が高い、つまり予後推定にも有用であることを示しています。国内では急性心不全で入院中の患者で細胞性円柱(上皮円柱・顆粒円柱・ろう様円柱・脂肪円柱)が1個/HPF以上認められる場合、AKIを発症する可能性が高いことをも報告されており、AKI発症推定にも有用であることが示されています。
その他の尿沈渣成分では、AKIの原因の一つである急性糸球体腎炎と赤血球円柱が関連しています。なお、腎前性AKIとATNに次いでAKIの原因として多いとされている急性間質性腎炎について、尿中好酸球が診断的に有用とする記載もありますが、腎生検で診断された急性間質性腎炎症例における検討では、尿中白血球中に占める好酸球の割合1%をカットオフとした場合、急性間質性腎炎をし全ての疾患のなかから診断する感度は30.8%、特異度は68.2%で、陽性尤度比0.97、陰性尤度比1.01とどちらも非常に悪く、薬剤性急性間質性腎炎に限定しても感度35.6%、特異度68.2%で若干感度は上がるものの大差はなく、好酸球比率5%をカットオフとしても、陽性尤度比2.2、陰性尤度比0.9と改善するものの十分ではなかったとの報告があります。したがって、急性間質性腎炎における尿中好酸球は診断的意義に乏しいというのが最近の考え方となっています。
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