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近年デジタルPCRをはじめとするデジタルアッセイ法が勃興しています。これらは1分子検出技術に基づく新しい超高感度診断技術として注目を浴びており、新しい疾病マーカーの探索が活発に行われています。
・デジタルインフルエンザ検出法の原理
デジタルアッセイ法に共通する原理は、微小な空間に閉じ込めることです。これは、微小な空間内では簡単に濃度が上がることを利用しているためです。例を挙げて考えると、1分子酵素を1mLの中に加えて、その反応産物が1μMに達したら検出できると仮定します。酵素は1秒間に10回反応するとして考えると、1分間に600分子の反応産物が産生されます。これが1μM(6X10¹⁴分子/mL)に到達するには190万年の時間が必要です。一方でこの体積を1fL(10⁻¹⁵L)まで小さくすると1分間で1μMに到達できます。このように、微小な空間に閉じ込めることで、1分子酵素の活性を検出できることがわかります。
この1分子酵素アッセイ法により酵素反応を利用して検出するデジタルELISA法が開発されました。デジタルインフルエンザ検出法の場合はこの微小空間にインフルエンザウイルスを確率的に1粒子閉じ込めることで達成されます。またインフルエンザウイルスの表面にはノイラミニダーゼが存在しており、その酵素活性を利用して検出することができます。
・インフルエンザウイルスのデジタル検出
1)ガラス基板上に直径3μm・深さ2μmの微小空間を80万個作成
2)ウイルス試料と蛍光基質を混合した溶液を流し込み、続けてオイルを流すことで、各微小空間を孤立化させる
3)ガラス基板を蛍光顕微鏡で観察、白い輝点がインフルエンザウイルス1粒子に由来する。
蛍光を発している微小容器を1、発していないものを0とし、既知のウイルス濃度(PFU/mL)試料を連続希釈して、それぞれデジタルアッセイによって数えられた輝点を濃度に変換した値(count/mL)をプロットして検量線とする
検出限界の比較においても、イムノクロマト法は10⁷PFU/mLであるのに対しデジタルインフルエンザ検出法では10³PFU/mLであり、RT-PCRとほぼ同等の結果が得られています。デジタルインフルエンザ検出法はイムノクロマト法の1万倍高感度であり、実際の臨床検体を用いた実験においても、イムノクロマト法では検出できないサンプルからの検出に成功し、陽性患者のうがい液からの検出にも成功しています。このことからより早期の診断や低侵襲な診断法として期待されています。
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