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亜鉛(Zn)は代表的な必須微量金属で、70種以上の酵素(金属酵素)の構成要素として生体のさまざまな代謝系の調節に関与しています。臨床的には血清亜鉛の過剰に遭遇することは稀であり、血清亜鉛の低下をきたす病態の方がはるかに多く、かつ重要とされています。
亜鉛欠乏により成長発育障害、性腺機能不全、皮膚病変、味覚・嗅覚異常などの障害が惹起され、欠乏症の判定は一般に血清亜鉛値が用いられます。
亜鉛欠乏症の原因は様々であり、年齢的な特徴があります。成長期にある乳幼児・小児では摂取量不足や吸収障害、成人では摂取量不足、薬剤投与や糖尿病・肝疾患など慢性疾患により発症することが多くみられます。
摂取不足は低亜鉛食(菜食主義者など)のような例を除けば医原性のものが多く、特に長期静脈栄養や経腸栄養に伴う亜鉛欠乏症が重視されています。
一方、腸性肢端皮膚炎は先天性亜鉛欠乏症として知られ、腸管からの亜鉛吸収不良が原因です。また、透析患者の血清亜鉛は低値を示すことが多く、味覚・嗅覚異常や性欲減退を訴える例でより著しくなります。この原因には腸管からの亜鉛吸収不良が関与すると考えられており、亜鉛補充により改善されます。
検査材料:血清
測定法方:比色法
基準値:単位(μg/dL)80〜130
亜鉛欠乏症は、亜鉛欠乏の臨床症状と血清亜鉛値によって診断されます。亜鉛欠乏の症状があり、血清亜鉛値が亜鉛欠乏または潜在亜鉛欠乏であれば、亜鉛を投与して、症状の改善を確認することが推奨されます。
・亜鉛欠乏症の診断基準
1、下記の症状・検査所見のうち1項目以上を満たす
1)臨床症状・所見:口内炎、皮膚炎、脱毛症、褥瘡(難治性)、食欲低下、発育障害(小児で体重増加不良、低身長)、性腺機能不全、易感染性、味覚障害、貧血、不妊症
2)検査所見:血清アルカリフォスファターゼ(ALP)低値
注:肝疾患、骨粗しょう症、慢性腎不全、糖尿病。うっ血性心不全などでは亜鉛欠乏であっても低値を示さないことがある
2、上記症状の原因となる他の疾患が否定される
3、血清亜鉛値:早朝空腹時に測定することが望ましい
3-1 60μg/dL未満:亜鉛欠乏症
3-2 60〜80μg/dL未満:潜在性亜鉛欠乏症
4、亜鉛を補充することにより症状が改善する
亜鉛補充前に 1、2、3を満たすものは亜鉛補充の適応になる
【確定診断】
上記項目の1、2、3-1、4をすべて満たす場合を亜鉛欠乏症と診断する
上記項目の1、2、3-2、4をすべて満たす場合を潜在性亜鉛欠乏と診断する
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