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オートファジーの障害は、細胞の腫瘍化の起因となりますが、オートファジーの恒常的活性化はがん細胞の代謝要素性を満たすことから、がんとオートファジーの関連は複雑です。
p62は、オートファジーにより選択的に分解される基質で、オートファジー欠損マウス組織において顕著に蓄積します。蓄積したp62は349番目のセリン(マウスでは351番目)がリン酸化されており、Cullin3型ユビキチンリガーゼのアダプター蛋白質Keap1と転写遺伝子Nrfの結合を競合阻害します。その結果Nrf2は安定化・活性化して腫瘍の増殖を促進すると考えられています。
重要な点は、ヒト肝細胞がん組織において異常蓄積が観察されている好酸性の封入体マロリー小体の主要構成成分はp62であり、ヒト肝細胞がん」においてもNrf2の活性化が予測されたことです。実際、内在性にs349リン酸化p62を蓄積するヒト肝細胞がん株Huh-1を用いた異種移植実験から、Huh-1のp62を欠失させるとNrf2の活性化の低下とともに腫瘍の増殖が抑制されること、p62欠損Huh-1株にS349リン酸化p62模倣体を戻すとNrf2の再活性とともに腫瘍増殖が回復します。このことは、ヒト肝細胞がんでもp62を介したNrf2活性化が腫瘍増殖に寄与することを意味します。
欧米を中心にオートファジーを標的にした加齢関連疾患の創薬・治験が開始されています。たとえばオートファジーが異常活性化されている膵管腺がんに対してオートファジーリソソーム系を標的にした治験も進められています。また、メガファーマにおいては神経変性疾患・生活習慣病・腫瘍の治験薬として、オートファジーの活性化剤あるいは阻害剤のスクリーニングが盛んに行われています。しかし、オートファジー研究は今なお未解明・未解決問題が山積しています。
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