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ユビキチン (ubiquitin) は76個のアミノ酸からなる蛋白質で、他の蛋白質の修飾に用いられ、蛋白質分解、DNA修復、翻訳調節、シグナル伝達などさまざまな生命現象に関わっています。至る所にある (ubiquitous) ことからこの名前が付きました。進化的な保存性が高く、すべての真核生物ではほとんど同じアミノ酸配列をもっています。
ユビキチンは不要な蛋白質の除去を始めとして、DNA修復、シグナル伝達など多彩な機能を持っていますが、この機能の差は複数のユビキチンがどのような結合のしかたをするか(主にどのリシンをポリユビキチンの結合に使うか)で変わってきます。
ユビキチン化は、フォールディングが異常な蛋白質(ミスフォールド蛋白質)や不要になった蛋白質を細胞から除去するための重要な役割を持っており、このシステムを蛋白質の品質管理と呼びます。新生蛋白質の約30%がミスフォールディング蛋白質であると言われており、はじめにこれらの蛋白質をhsp90等の分子シャペロンが修復しようとします。蛋白質の構造がひどく壊れていて修復が不可能な場合には、小胞体から細胞質に輸送され、分子シャペロンによって品質管理ユビキチンリガーゼとして働く C-terminus of Hsc-70-interacting protein (CHIP))などへと運ばれた後にユビキチン化を受け、プロテアソームによって分解されます。これらの機構を小胞体関連分解 (Endoplasmic Reticulum(ER)-associated degradation:ERAD))と呼びます。この経路を利用して作られた医薬品が抗悪性腫瘍剤ボルテゾミブであり2006年12月に日本国内で発売開始されています。
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