') ?> エクソソーム蛋白質の分析 回収法と留意点 - 健康診断・血液検査MAP2

エクソソーム蛋白質の分析 回収法と留意点

生体資料からエクソソームを回収する方法として、超遠心分離法・密度勾配遠心法・精密密度濾過法・抗体補足法・ゲル濾過法などが報告されていますが、それぞれ一長一短があります。

エクソソーム蛋白質の分析 回収法と留意点

生体資料からエクソソームを回収する方法として、超遠心分離法・密度勾配遠心法・精密密度濾過法・抗体補足法・ゲル濾過法などが報告されていますが、それぞれ一長一短があります。尿蛋白質全体の約3%と推定されるエクソソーム蛋白質を分析するためには、各回収法の特徴を理解したうえで適切な方法を選択する必要があります。例えば超遠心法では、低速の回転で夾雑物(余計な混ざりもの)を除去してから100,000Xg程度の超遠心分離によりエクソソームを回収します。実際には最も広く利用されている方法ですが、操作が煩雑で、多量の尿試料を処理するためには長時間を要することが、臨床での応用を困難にしています。

一方、抗体補足法はエクソソーム表面マーカー蛋白質に対する特異抗体を結合させ、ピペットチップやカラム内に充填したデバイスを利用してエクソソームを単離する方法です。このため自動化への適用があ容易であることが特徴であり、比較的短時間で試料中のエクソソームを効率的に回収可能です。
ここで留意すべき点は、尿中に共存する多量の蛋白質の影響です。エクソソームに内包される蛋白質を分析するためには、エクソソームの回収過程においてアルブミンやトランスフェリンのほか、健常人尿に多量に排泄される尿細管性蛋白質であるTHP(Tamm-Horsfall protein)などのコンタミネーションを避けなければなりません。特にTHPは、エクソソームを巻き込んで沈殿してしまうため注意が必要です。これに対しては、尿試料にDTT(dithiothreitol)を加えて凝集したTHPの構造を破壊してエクソソームを放出させる方法が報告されており、またエクソソームの精製処理の工程を37℃で行うとTHPの凝集が抑制され、エクソソーム内の蛋白質を最も高率よく得られたとの報告もあります。このほかに、腎糸球体障害が重度の場合、血液中のエクソソームが混入する可能性があり、血液由来のエクソソームとの鑑別も必要となります。

▽エクソソーム蛋白質の分析 回収法と留意点 のキーワード

▽次の記事、前の記事

尿中ポドサイト数と関連疾患 | 尿中エクソソームの日内変動と安定性

健康診断・血液検査MAP2:新着記事

鉄のホメオスタシス
生体は鉄過剰や鉄欠乏に陥らないように複数のステップで鉄の取り込みを制御しています。
続発性鉄過剰症と鉄の毒性
蓄積した鉄により生じた活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)が肝細胞障害や変異原生塩基の生成を惹起することが知られています。
単球由来マイクロパーティクル
膜小胞体は細胞の内部顆粒や膜性微粒子、および機械的破壊によって生成された膜のフラグメントを含み、マイクロパーティクル(microparticle:MP)と呼ばれています
My Nightingale マイ ナイチンゲール総合的健康状態把握
バイオマーカー測定値より算出される総合健康指標および各種健康指標
新型コロナ経口薬パキロビッドパック(Pfzer社)を特例承認
厚生労働省はファイザーが申請した「パキロビッドパック」(ニルマトレルビル・リトナビル)を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として特例承認しました
尿中コルチゾール
コルチゾールは、下垂体から分泌されるACTHの刺激を受けて、副腎皮質束状層より分泌される分子量362.5の糖質コルチコイドでACTHとの間にフィードバック関係があります
新型コロナウイルスCOVID-19のサイトカインストーム
「サイトカインストーム」は、何らかの原因によりIL-1β、IL-6、TNF-αなどの血中サイトカインの大量産生状態と、続発する全身の炎症状態を伴う過剰な免疫反応を表す言葉です
sFlt-1/PlGF比 妊婦高血圧腎症発症予測
PEの病態形成には、血管新生因子である胎盤増殖因子(PlGF)およびその阻害因子の可溶性fms様チロシンキナーゼ1(sFlt-1)が関与していることが明らかになっています
ctDNAの量と検査方法
血漿DNAの量は10ng/mL以下と微量であり、このうち腫瘍由来のctDNAは通常0.1〜1%の低頻度で含まれています
cfDNAとctDNA
cell-freeDNA(cf-DNA)は体内の細胞が死滅する際に、ゲノムDNAが細胞外に放出され血液中に短く断片化した遊離DNAです

Valid XHTML 1.0 Transitional Valid CSS! Lint