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尿中トランスフェリン

尿中トランスフェリンは、糖尿病の最も重要な合併症の一つである糖尿病性腎症の早期マーカーとして利用されており、早期発見・早期治療に有用です。

尿中トランスフェリン

トランスフェリン(Tf)はβグロブリン分画に属する血漿蛋白で、主に肝臓で合成されます。血清中では鉄と結合して生体内の種々の組織へ鉄を輸送する役割を持ち、トランスフェリン 1分子はFe3+2原子と結合します。正常ではトランスフェリン 1分子の約3分の1が鉄と結合しているため、さらに血清鉄濃度の2倍量と結合しうる能力(不飽和鉄結合能)があります。
トランスフェリンは糸球体基底膜を通過しないため、尿中では通常は検出されません。しかし腎疾患では強い陰性荷電をもつアルブミンに比べ、荷電量が少ないため、糸球体を容易に通過し、尿中に見られるようになります。したがって、軽度な糸球体障害時にアルブミンより早く尿中に出現、増加します。

糖尿病性腎症は、致死的な合併症であり、従来腎症の診断は持続性蛋白尿の出現によって行なっていましたが、この時期に治療しても腎病変は不可逆であり、より早期に腎症の診断をくだす必要性があるため、通常尿蛋白の多くを占めるアルブミンを測定し、その指標の一つとしています。臨床的に尿中トランスフェリンを測定することは尿中アルブミン測定と同様の意義を有し、糖尿病性腎症の早期発見・治療効果判定に有用です。

検査材料:畜尿
測定方法:ラテックス凝集比濁法
基準値:単位(mg/day)0.80以下

・高値を示す病態
腎障害(特に糖尿病性腎症の早期診断に有用)、尿細管障害
・低値を示す病態
低値側の臨床的意義は少ない

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