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侵襲時の蛋白代謝

侵襲とは、生体内の恒常性を乱す事象全般をいいます。疾患だけでなく手術や医療処置も侵襲を加えることになります。侵襲が加わると損傷した組織修復の為にエネルギー需要が増大します。

侵襲時の蛋白代謝

侵襲とは、生体内の恒常性を乱す事象全般をいいます。疾患だけでなく手術や医療処置も侵襲を加えることになります。侵襲が加わると損傷した組織修復の為にエネルギー需要が増大します。ここで利用される基質はグルコースです。侵襲による組織損傷が起こると貯蔵したグリコーゲンを動員しますが、量が少ない為、増加したエネルギー需要を補うことができないことから、副腎皮質ホルモンなどの分泌が亢進し、骨格筋の異化が亢進します。骨格筋の異化亢進により、グルタミンやアラニンなどの糖原性アミノ酸を動員します。
動員されたアミノ酸は、糖新生によって肝臓でグルコースに変換され。血液中に放出されて、損傷した組織蛋白合成の基質として、赤血球に、脳ではエネルギー源としても利用されます。

大手術・重症外傷・熱傷などの高度な侵襲が生体に加わると、全身の蛋白合成・分解も亢進しますが、分解のほうが合成よりもはるかに亢進するため、結果として骨格筋・内臓蛋白や他の蛋白質の減少がみられ、各種の身体機能の低下をきたします。
このように蛋白は多様な機能に関与するため、異化亢進は全身状態を悪化させます。蛋白代謝を中心とした栄養評価の概念で用いられる除脂肪体重(lean body mass:LBM)は、体重から体脂肪量を引いて計測される値で、体脂肪を除いた骨格筋・骨・内臓の重量を表します。栄養不良によるLBMの減少は、筋肉量の減少(骨格筋・心筋)、アルブミンなどの内臓蛋白の減少、免疫機能の障害(リンパ球・多核白血球・穂体・抗体・急性相蛋白)、創傷治癒遅延、臓器障害(腸管・肝臓・心臓)、生体適応の障害を引き起こし、最終的には窒素死(nitrogen death)を引き起こします。

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