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生体は鉄過剰や鉄欠乏に陥らないように複数のステップで鉄の取り込みを制御しています。主として、十二指腸粘膜上皮から吸収される鉄は1mg、排泄される鉄もほぼ1mgです。生体内には総量として3〜4gの鉄があるので。半閉鎖系としてごく一部の鉄が入れ替わるのみです。生体の維持に必要な鉄のほとんどは、脾臓・骨髄や肝臓の網内系細胞によるヘモグロビン鉄の再利用によって得られます。消化管より吸収された鉄はトランスフェリンと結合して血中を移動し骨髄で造血に利用されるほかに、フェリチン鉄として肝細胞内にヘモジデリン鉄としてKupffer細胞内に貯蔵されます。貯蔵鉄の大部分が肝臓に存在するので、過剰鉄が肝臓に及ぼす影響は多大です。腸管からの鉄吸収に関与する分子群としてDMT1、Dcytb、ferroporin-1、hephaestinが次々とクローニングされ、それぞれの遺伝子変異によって貧血もしくは鉄過剰症が起こることが明らかになっています。
消化管での鉄吸収調節に加え、細胞膜の表にはトランスフェリンレセプター(TfR)があり、細胞内への鉄の取り込みを調節しています。鉄はTfRに結合し、消化管上皮にある分子と同じチャンネル(DMT1)を通して細胞質内へと取り込まれます。また遺伝性ヘモクロマトーシスの責任遺伝子であるHFE遺伝子がコードするHFE蛋白がTfRと結合すると、トランスフェリンと鉄の結合が抑えらえれ、鉄の細胞内取り込みが抑制されます。細胞内に入った余分な鉄イオンはROS産生を誘導しますが、フェリチンの中に取り込まれると無毒化されます。
その他、肝臓で産生されるhepcidinが鉄吸収や網内系からの鉄の再利用調節していることが明らかになっています。hepcidinは鉄過剰症、感染や炎症などで発現が増加し、マクロファージのferroportin-1の発現を抑制することにより鉄の血中への放出を抑制します。さらにHFE・TfR・hemojuvelinがhepcidinの発現調節因子であることが知られています。
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