') ?>
続発性鉄過剰症の原因の1つに慢性肝疾患があります。C型慢性肝炎においてはHDV感染に伴う酸化ストレスなどにより肝内鉄過剰が生じ、また蓄積した鉄により生じた活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)が肝細胞障害や変異原生塩基の生成を惹起することが知られています。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)においても肝臓にさまざまな程度の鉄沈着が生じていることが報告されています。まだ不明な点も多いのですが、鉄過剰がNASHにおける肝炎発症や発癌に関与している可能性が示唆されています。
・鉄の毒性
鉄は2価と3価の酸化数をもつ遷移金属元素です。しかし正常の肝細胞では鉄はその大部分が細胞内の鉄貯蔵蛋白てあるフェリチン蛋白の殻内に閉じ込められているため無毒です。しかし、細胞内に鉄が過剰になってくると遊離鉄分画(非フェリチン分画)が増加してきます。遊離鉄は、遷移金属であるという特性を持っているので酸素をROSに変換させる反応を触媒します。なかでもFenton反応(H2O2とFe2+の作用でOH-・OH+Fe3+が生成される)では、最も毒性の強いROSであるhydroxyl radical(・OH)が大量に生じます。・OHはライソゾーム膜、細胞質膜、核膜、ミトコンドリア膜などを傷害する他、DNA鎖の切断、カスパーゼカスケードの活性化によるアポトーシスの誘導、脂肪鎖の過酸化などを惹起し、細胞障害を引き起こします。また、・OHはグアニンのC8位に付加して8-OH-dGなどの変異原生塩基を形成するため、G:C→A:T型DNA変異を誘発することが知られています。臨床的に鉄過剰が細胞癌化と密接に関連することは、ヘモクロマトーシスにおける肝細胞癌の罹患リスクが健常人の5.4〜200倍高いことからも示唆されています。
▽続発性鉄過剰症と鉄の毒性 のキーワード
▽次の記事、前の記事
サイトについて
このサイトは「健康診断・血液検査MAP」の新規記事を掲載しています。 過去の記事はこちらから閲覧できます。当サイトのRSS
新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP2