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エクソソームの回収には、主に超遠心法、抗体を用いた回収法、サイズ排除クロマトグラフィーが用いられます。こううち、現時点では超遠心法がゴールドスタンダードであると考えられています。2000Gのような低速遠心で細胞デブリを除去した後、10万G以上の超遠心を行ってエクソソームを沈殿させます。
例:細胞の培養上清では21万G・70分・4℃(Optima XE-90:ベックマン・コールター社)、血清では21万・25分・4℃(Optima MAX-XP:ベックマン・コールター社)
しかし、回収率が悪く、手間と時間がかかり多検体を一度に処理できない為に、臨床的には問題を抱えています。他の回収方法として、抗体による回収が挙げられます。これは、CD9抗体やCD63抗体などエクソソームに特異的な抗体を固定したビーズなどを用いて単離する方法です。また、ExoQuick(System Biociences社)や、Total Exosome RNA&Potein Isolation Kit(Thermo Fisher Scintific社)などのキットも販売されています。これらの方法は、超遠心機を用いない利点がある一方、エクソソーム回収の原理が異なっているため、研究内容に応じての使用の向き不向きを考える必要があります。
体液中に存在するエクソソームを直接検出する方法の開発も進んでいます。「ExoScreen」は、エクソソーム膜上蛋白質に対し2種類の修飾化抗体を用いてエクソソームを挟み込むように反応させた際、両修飾化抗体の距離が200nm以下になる場合にのみ蛍光シグナルが発生する仕組みです。この方法により、エクソソーム回収ステップを踏まずに、血清1μLと非常にわずかな量で、高感度にエクソソームを検出できるようになりました。他にも、エクソソーム膜上蛋白質を、酵素免疫測定(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)法を利用し検出する「ExoTEST」や、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)を応用し、マイクロ流体チップ内で検出を行う「μNMR」などが報告されています。
このように、超遠心法を中心に、抗体を用いた回収法や体液からエクソソームを直接解析する方法など、さまざまなエクソソームの回収・解析法がすでに考案されています。エクソソームはヘテロな集団であるため、単離したエクソソームの性質に偏りが生じてくることに注意が必要です。ただし、リキッドバイオプシーに関する研究においては、どのような回収・解析法でも、結果的に再現性に優れ精度の高い診断が可能であれば回収方法は問われないと考えられています。
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