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KIM-1(kidney injury molecule 1)は、HAVcr-1(hepatitis A virus cellular receptor1)やTIM-1(T-cell immunoglobulin and mucin domain 1)としても知られる、ムチンとイムノグロブリンドメインを含むType1膜貫通型蛋白質です。
尿中のKIM-1の測定は、腎尿細管壊死のバイオマーカーとしての有用性が示されています。例えば、既知腎毒性物質であるcisplatinをラットに投与した場合、翌日には尿中のKIM-1量が3〜5倍増加したのに対して、従来の腎障害マーカーである血漿クレアチニン、BUN、尿中NAG(N-acetyl-β-glucosaminidase)、グルコースや蛋白量ではそのような変動は見られませんでした。
尿細管壊死を惹起する化合物をラットに投与し、腎臓でのKIM-1遺伝子の発現変動を定量リアルタイムRT-PCR法で測定した結果、KIM-1遺伝子が1000倍強に発現上昇し、さらに腎障害を示唆する病理所見のグレードと強く相関していたことから、尿細管壊死を判定する遺伝子マーカーとして有用であることが報告されています。このことから、非侵襲的に採取可能な尿中のKIM-1蛋白量を測定すれば化合物の腎毒性評価に有用であると考られ、いくつかの検討がされました。
既知腎毒性物質をラットに短期間投与したところ、既存の腎障害マーカーには変動の見られない投与後24時間での早期であっても尿中KIM-1蛋白量の増加が確認でき、尿中KIM-1蛋白量の増加の程度は、化合物のもつ腎毒性の強さに比例しています。さらに尿中KIM-1蛋白量の変動は、腎皮質内のKIM-1遺伝子発現量と、その後の病理組織学的検査による腎尿細管壊死および再生などの所見と一致していました。これにより、化合物の腎毒性を評価するうえで尿中KIM-1蛋白量の測定は有用な評価項目であることが明らかになっています。
KIM-1は腎臓や精巣で最も高レベルで広く発現し、腎臓のダメージや特に近位尿細管損傷のバイオマーカーとして役立っています。肝臓がんや急性尿細管壊死の患者では、血清や尿中にKIM-1の急激な上昇が見られます。
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