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CRPは白血球数と同様に感染症や炎症性疾患を診断するうえで重要な検査項目であり、初期診療時から利用されています。発熱は外来受診患者をはじめ、在宅医療を受けている患者や介護施設の入居者の訴えとして最も多いものの1つです。発熱患者では自然治癒するものと、肺炎や敗血症などの重症の患者の鑑別を行うことが重要になります。CRPは炎症の状態を反映しやすいことから、CRPの測定を行うことで適切な薬剤の選択および治療を実施することができます。
近年では、患者の傍らで検査を実施、リアルタイムに検査結果を得ることができるPOCT(point-of-cara testing)によるCRPの測定が診療所や在宅医療現場で利用されるようになっています。現在では、微量の全血(指先穿刺血)を検体とし、約5分間で検査結果が得られる簡便で持ち運び可能なPOCT対応機器が市販されています。また1台でCRPと白血球数を同時測定できるものもあり、CRPと白血球数の2種類の炎症・感染症関連検査項目を同時測定することで、感染状態、治療効果の推移がリアルタイムで、しかも簡便に判断できるようになっています。
・リアルタイム検査としての全血によるCRP測定
CRPは単独でオーダーされることが多く、検査結果に対する迅速性も必要とされているためPOCTとして運用される検査項目です。POCTとして利用する場合、検体が血清または血漿では遠心分離などの前処理に時間がかかるため、迅速対応に限界があります。また、新生児や小児では採血が困難で一度に得られる検体量が限られてしまうことがあり、必要な検査を全て実施できないことがあります。このような問題を解決するため、微量の全血検体でCRPの測定が実施できるPOCT対応機器が開発され市販されています。市販のPOCT対応機器はいずれも小型・少数検体処理・微量の全血検体での測定・単独ないし少ない検査項目という共通点をもっています。また測定時間も3〜10分程度です。
測定法方:ラテックス免疫比濁法、ラテックス免疫凝集比濁法
測定における留意点:共存する血球成分が検出の妨害をするため、粒子成分を除去する必要があります。フィルターなどで血液をろ過して血球成分を除去する方法と溶血させて粒子としての影響を取り除く方法がありますが、どちらも一長一短があります。
・CRPと白血球数の同時測定
感染症の診断においてCRPと白血球数の2種類の炎症・感染症関連検査項目が使用されますが、白血球数は細菌感染などの炎症初期にサイトカインが骨髄を直接刺激することで増加するのに対し、CRPは急性炎症時にマクロファージから産生されるインターロイキン(IL-6・IL-1)腫瘍壊死因子(TNF-α)などが肝細胞を刺激することにより肝臓で産生されて血中濃度が上昇します。この違いから白血球数とCRPの推移は必ずしも一致しません。
白血球数は感染初期から上昇し、全身性炎症反応では
1)体温38℃以上または36℃以下
2)心拍数90/分以上
3)呼吸数20/分以上またはPaCO2(32Torr以下)
4)白血球数 12000/mm3以上または4000/mm3以下または未熟顆粒球10%以上
上記の2項目を満たす。重症感染症では白血球数が低減することがあり、好中球の左方移動もみられます。
CRPは感染初期にはあまり上昇せず、病期の進行とともに上昇し、そのピークは白血球数のピークとは一致せず、炎症が改善すると速やかに陰性化します。疾患特異性は低いが一般的な感染症の検査として頻用されています。
白血球数とCRPの2項目を同時測定することは、感染時期の特定、治療効果の早期判定、疾患の重症度の把握などに有用です。特に初期スクリーニングにおいて発熱原因が細菌感染かウイルス感染かを鑑別することは、抗菌薬の適切な投与につながります。また、小児科領域においては、細菌性腸炎の診断補助、熱性痙攣時の細菌感染症合併診断などにも有用です。
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