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1)先天性プロテインC欠乏症
遺伝子異常による病態であり、一般的にみられるのはヘテロ接合体の分子異常で常染色体優性遺伝の遺伝形質を示します。発症頻度に人種間の違いはなく、一般人口の0.2〜0.3%にみられます。病態が1型と2型に分けられ、1型は産生異常による欠乏症、2型は抗原量の保たれる分子異常症です。頻度としては1型が80%程度を占め、2型は10%強であるとされています。妊娠や感染などの二次的要因により静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)が誘発されるケースが多く、VTEのみでなく脳梗塞などの動脈血栓症のリスクになることにも注意が必要です。
頻度的にはかなり低いのですが、異常な分子アレルのホモ接合体や複合ヘテロ接合体の症例ではプロテインC活性が大きく低下し、新生児期から乳幼児期にかけて脳梗塞・脳出血・脳静脈洞血栓症を発症し、さらには電撃紫斑病と呼ばれる重度な多発血栓症発症する症例があります。
2)ビタミンK欠乏
プロテインCはビタミンK依存性の蛋白です。そのためビタミンKの欠乏によって他のビタミンK依存性凝固因子同様に産生が低下します。ビタミンKは緑色野菜に多く含まれる脂溶性ビタミンで、胆汁酸などと混合されたのち、小腸で吸収され肝臓に運ばれる他、消化管の細菌叢による合成経路もあります。ビタミンK欠乏に陥るケースとしては経口摂取不良の患者に抗菌薬の長期投与を行い、腸内細菌叢を破壊してしまうケースや、胆道閉塞による胆汁排出障害からくる吸収障害などがあります。
ビタミンK拮抗薬であるワーファリンにより低下する点は臨床的に重要で、プロテインCの半減期は薬6時間と血液凝固第2因子、第9因子、第10因子と比較して短く、ワーファリン開始後に凝固因子に先行してプロテインCが低下し、一過性に凝固優位の状態が惹起されることがあります。特にワーファリンを高用量で急速導入するときは定常状態になるまでヘパリンなどで抗凝固療法を行います。
3)その他
肝不全などの肝機能障害で低下する他、肝臓の合成機能未熟である新生児では40%程度に低下が認められます。またDICや血栓症の後などでは消費低下がみられる頃があります。薬剤の影響としてFXa阻害薬のなかでもリバロキサバンは凝固一段法で偽高値を示すことが報告されています。
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