') ?>
α2-マクログロブリン(α2-macroglobulin:α2-MG)の機能はトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、トロンビンなどの蛋白分解酵素(プロテアーゼ)と結合して複合体を形成し、血中から短時間のうちに除去することにより酵素機能の不活性化に作用するプロテアーゼ・インヒビターの一つであり、なかでも量的に最も多いのがα2-MGです。また、ホルモン、インターロイキン-6などとも結合、その機能を調節する役割も担っています。 α2-MGは間接的に血中のプロテアーゼの動態を知る指標として用いられています。
α2-MGの分子量は約72万と大きく(アルブミンの10倍余)、α1アンチトリプシンのように蛋白を分解するタイプのプロテアーゼインヒビターと異なり、プロテアーゼを取り込み活性中心を包み隠す形で阻害作用を発現するユニークな蛋白です。
たとえば腫瘍マーカーとして知られる前立腺特異性抗原(PSA)には、遊離型、α1アンチキモトリプシンとの結合型とともにα-2MGとの結合型が存在します。α2-MGとの結合型は抗原決定基が覆い隠されているためPSAとしては検出されず、「血中PSA」は遊離型およびα1アンチキモトリプシンとの結合型を測定しています。
このほかα2-MGには免疫抑制作用や、インターロイキンのキャリア蛋白としての役割も知られています。
α2-MGは通常、急性相反応蛋白には分類されませんが、感染症や悪性腫瘍、炎症性疾患、膠原病で高値を示します。また、分子量が大きいため尿中にほとんど排泄されず、腎糸球体障害では血中のアルブミンの低下により相対的に増加するため、ネフローゼ症候群で血中に増加します。このためネフローゼ症候群の血清蛋白分画像ではα2 のピークが上昇します。
α2-MGが減少する病態は増加するものに比べて少なく、造血器系腫瘍や前立腺癌などで低下します。またDICの場合に、α2-MGの低下が認められることが多く、これはα2-MGとプラスミンとの間で複合体が形成され、血中から速やかに消失するためと考えられています。
生理的変動としては加齢があげられ、2〜4歳で最も高値を示し、その後減少します。また妊娠により増加します。
検査材料:血清
測定方法:ネフェロメトリー
基準値:単位(mg/dL)M100〜200 F130〜250
・高値を示す病態
急性・慢性肝疾患、ネフローゼ症候群、慢性炎症性疾患、糖尿病、膠原病、悪性腫瘍、薬剤投与:エストロゲン など
・低値を示す病態
末期癌、造血器系悪性腫瘍(慢性リンパ性白血病、骨髄腫、リンパ腫など)、前立腺癌骨転移、DIC、関節リウマチ、心筋梗塞、遺伝性α2-MG欠損症、慢性閉塞性肺疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、急性膵炎、炎症性腸疾患(クローン病など)
▽α2-マクログロブリン のキーワード
▽次の記事、前の記事
サイトについて
このサイトは「健康診断・血液検査MAP」の新規記事を掲載しています。 過去の記事はこちらから閲覧できます。当サイトのRSS
新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP2