Roncob分類type2:慢性腎症候群
慢性疾患による左心室が肥大した病態による機能低下、拡張不全、心筋症が原因となり、慢性の腎虚血状態となります。うっ血性心不全で入院した患者の63%心腎関連の状態を認めるという報告もあり、Type2では心不全の評価が重要となります。
1)左室肥大、左室拡張不全の検査
左室肥大は標準12誘導心電図検査によって、R波の増高・ST降下・T波異常の3つの所見から判定され、左室肥大の程度に伴い、これらの所見は顕著に表れます。また左心室拡張不全の診断・治療効果の判定・経過観察には、心エコー検査が必須です。検査手段としては、まず左室駆出率(ejection fraction:EF)を評価し、EFの低下が認められる場合には、さらにドプラ法を用いて精査します。
ドプラ法による左室拡張不全の診断と重症度については、EF維持の有無を判断した後、EFが40〜50%未満に低下している場合には、左室拡張不全を最も簡単に評価できる指標といわれている僧帽弁口血流速波形(transmitral flow elocity pattern:TMF)および肺静脈血流速波形(pulmonary venous fiow elocity pattern:PVF)により評価されます。このほかには、血液検査でBNP値が60pg/mLを超えていたら左室拡張不全を疑います。
2)心不全の検査
症状・身体所見から心不全が疑われた場合には、スクリーニング検査として血液・尿・心電図・胸部X線写真などから、診断の妥当性を検証します。心電図所見では心房細動やQRS幅拡大の有無を観察し、胸部X線写真では肺うっ血・胸水・心陰影の大きさや形を判定します。
心不全診断が未確定の緊急例や心不全の重症度の評価にはBNPあるいは
NT-proBNPが有用です。
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