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血小板・白血球および血管内皮細胞は、活性化された際に微小な膜小胞体を遊離することが知られています。この膜小胞体は細胞の内部顆粒や膜性微粒子、および機械的破壊によって生成された膜のフラグメントを含み、マイクロパーティクル(microparticle:MP)と呼ばれています。MPは生成の起源となった細胞に含まれる特異的な膜抗原を含んでおり、検出にはこれらの抗原の違いが重要となります。ぢ部分のMPは血小板に由来するもの(platelet-derived MP:PDMP)ですが、近年、単球に由来するMP(monocyte-derived MP:MDPD)が、その強力な凝固活性を示すことから注目されています。MDMPの凝固活性は組織因子に依存しており、主に外因系凝固を促進する物質として働いています。また、MDMPは糖尿病、急性心筋梗塞、尿毒症、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの血栓性疾患において検出されますが、最近は広範な臨床領域でMDMPの検出がなされ、血管病変のメカニズムを考えるうえで最も注目されている物質の一つです。
MDMPを検出する方法としては、単球特異抗原に対するモノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリー法があります。抗体をFITCやPEなどの蛍光色素で標識し、直接MDMPを検出します。抗体としてはCD14やCD11a/18がよく用いられます。フローサイトメトリーでは、側方散乱光(RT-SC)と前方散乱光(FW-SC)で単球の集団よりも小さい部分をMDMPとして定義しています。
MDMPの臨床的意義
MDMPは、2型糖尿病以外にも単球の活性化をきたす様々な疾患において増加が観察されています。また、急性冠症候群においては酸化LDL依存性のMDMPの生成も観察されており、急性期の冠動脈血栓の原因としてMDMPが大きな役割を果たしている可能性が考えられます。
一方、インターロイキン-10依存性のMDMP生成のメカニズムも報告されており、炎症の場におけるMDMPの意義も注目されています。
MDMPによる血栓形成において、重要な分子の一つがPSGL-1(P-selectin glycoprotein ligand-1)です。PSGL-1は、好中球や単球に発現するムチン様糖蛋白質であり、血管壁でのローリングの際にPセレクチンの重要なリガンドとして機能します。MDMPのなかにはPSGL-1と組織因子の両方を発現しているものもあります。このようなMPは血管障害部位の血小板上に集積し、血小板のPセレクチンに結合するとともに、組織因子によって強力なフィブリン形成を促進します。さらに、MDMPはプラーク内に集積されており、血漿中よりも強力な凝固活性をもっています。
生活習慣病では血栓症の発症率が増加しており、プロコアグラント感性を有したMPの産生増加がその一因となっています。2型糖尿病で血管病変に対する治療を実施した際、可溶性接着分子をはじめとする動脈硬化症のマーカーの改善とMDMPの変動がよく相関しており、これはMDMPが動脈硬化症のマーカーとなりうることを示唆しています。動脈硬化調節因子の一つであるアディポネクチンに対してMDMPが強い相関を示すことも報告されています。また、悪性腫瘍患者ではMDMPと腫瘍血栓の関連性も報告されています。
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