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血圧の慢性調節 圧利尿と血液の関係

血圧の慢性調節には主として体液量が重要な役割を果たします。塩分の取り過ぎは体液量を増加させ、心不全になる危険性があります

血圧の慢性調節 圧利尿と血液の関係

血圧の慢性調節には主として体液量が重要な役割を果たします。塩分の取り過ぎは体液量を増加させ、心不全になる危険性があります。腎臓には糸球体内圧上昇することで圧利尿を介してナトリウムを排泄しようとする働きがあります。しかし、糸球体濾過量は100mL/minとして1日の尿量1Lから換算すると。濾過した水分は99%尿細管で再吸収されます。同様にナトリウムも大半が再吸収されます。ナトリウムの部分部分排泄率(fractional excretion of Na:FENa)は1%未満です。尿細管の機能が体液量に大きく影響していることがわかります。ナトリウム再吸収60%は近位行われますが、最終的につじつまを合わせるのは遠位尿細管・集合管です。

アルドステロン
アンギオテンシンIIは尿細管各所のNaチャネル、各種イオン輸送体を活性化させ、Na再吸収を増加させます。また、副腎で産生されるアルドステロンはミネラルコルチコイド受容体に結合し、集合管の上皮性NaチャネルならびにNa/カリウムATPaseを活性化することでNaを再吸収させ、カリウムを排泄します。同時に水分も吸収させるため、アルドステロン過剰でも血中のNa濃度には変化はありません。
最近の研究ではミネラルコルチコイド受容体は、アルドステロンのみならずRaclといった蛋白でも活性化されることがわかってきました。特に糖尿病や高食塩食摂取のように酸化ストレスが高い状態ではRaclを介した受容体活性化があるようです。
アルドステロンが過剰になるのが原発性アルドステロン症であり、食塩感受性の二次性高血圧の代表です。このほかにチャネルの遺伝子異常により二次性高血圧となるものがLiddle症候群です。

コルチゾール
副腎から放出されるステロイドホルモンにはコルチゾールもあります。産生過剰状態になっているのがCushing症候群、Cushing病です。コルチゾールは全身に作用し、アンギオテンシノーゲンの増加、アンギオテンシンII受容体やα受容体数を増加させる一方で、血管拡張により血圧を下げるNOの合成酵素やプロスタグランジンE、キニン・カリクレイン系を抑制し昇圧に働きます。
また、コルチゾールはグルココルチコイド受容体のみならずミネラロコルチコイド受容体にも結合し、ミネラロコルチコイド受容体への結合能はアルドステロンの1000倍にもなります。腎臓では11β水酸化ステロイド脱水素酵素2型(11-βhydoroxysteroid dehydorogenase type2:11βHSD2)がコルチゾールを不活性体のコルチゾンに変換させるため、ミネラロコルチコイド受容体は主としてアルドステロンによって活性化されています。しかし、甘草などに含まれるグリチルリチンは11βHSD2を阻害するため、アルドステロンが高くなくてもコルチゾールによりミネラロコルチコイド受容体が活性化されアルドステロン症のような高血圧を発症します。
これとは反対のホルモン異常として、常染色体性劣性遺伝疾患の11β-水酸化酵素欠損症や17α-水酸化酵素欠損症ではコルチゾールの産生低下をきたします。その結果、ネガティブフィードバックで副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰分泌が起こります。そのため、ミネラルコルチコイドのデオキシコルチコステロン(DOC)やコルチコステロンの過剰産生をきたし、食塩感受性高血圧を引き起こします。

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