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骨髄不全症は骨髄低形成および汎血球減少を特徴とし、その病因は先天性と後天性に大別されます。
先天性骨髄不全症は、造血細胞の分化・増殖が先天的に障害され、小児では造血不全症の10%を占めます。汎血球減少をきたす先天性骨髄不全症には、先天性角化不全症(dyskeratosis congenita:DKC)、Fanconi貧血(Fanconi anemia:FA)、Diamond Blackfan貧血(Diamond Blackfan anemia:DBA)、Shwachman Diamnd症候群(Shwachman Diamnd syndrome:SDS)などがあります。
先天性骨髄不全症では血球減少に加え、特徴的な外表奇形や所見を伴うことから、従来は臨床診断がなされてきましたが、その表現型は多様であり、血球減少以外の臨床症状がみられないこともあります。したがって、小児や青年期に発症した骨髄不全症患者に対しては全例に染色体脆弱試験やテロメア長測定を実施し、先天性骨髄不全症を除外する必要があります。
DKC以外の先天性骨髄不全症や特発性造血不全症においてもテロメア長の短縮がみられることが知られており、造血ストレスに伴う二次性の変化が原因と考えられています。先天性造血不全のうち、FA、DBA、SDSにおけるテロメア長を測定結果が数多く報告されています。テロメア長の測定方法および短縮の基準はさまざまですが、汎血球減少症をきたすFAおよびSDSではテロメア長が短縮している患者の頻度が比較的高いと考えらています。
ターゲットシークエンスによる遺伝子学的診断をされた155例(特発性AA126例、DC11例、FA9例、DBA4例、SDS2例、その他3例)に対してテロメア長を測定し、骨髄不全症の病型によるテロメア長の違いについて検討されました。flow-FISH法を用いてリンパ球のテロメア長を測定し、71人の健常人を対照とした年齢調整後の相対テロメア長が-2.00標準偏差未満の場合を”短縮あり”と判定した結果、155症例全体におけるテロメア長の中央値は-0.94SDであり、34例(22%)でテロメア長の短縮がみられました。テロメア長が短縮していた症例は、特発性AAでは18例(14%)、DKCでは10例(91%)、DKC以外の先天性骨髄不全症では6例(33%)でした。DKC以外の先天性骨髄不全症患者のテロメア長が特発性AAに比べて短縮していることが示されました。
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