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テロメアは”TTAAGGG”という特徴的な塩基の繰り返し配列をもつDNAと、テロメラーゼ複合体およびshelterin複合体などのさまざまな蛋白質から構造をもち、DNAの分解や修復から染色体を保護し、物理的および遺伝的な安定性を保つ役割を担っています。テロメアの摩耗した細胞では染色体の不安定性が惹起され、アポトーシスに陥ります。細胞分裂の際にDNA複製が行われるたびにテロメア長の短縮がみられることから、テロメア長の短縮は加齢性変化を示すマーカーとされています。しかし造血幹細胞や生殖細胞などでは、テロメラーゼ活性によるテロメア長の伸長補正が行われるため継続的に細胞分裂が可能となります。
テロメア長の伸長補正の障害が先天性角化不全症(dyskeratosis congenita:DC)の原因として同定されており、また再生不良性貧血(apilastic anemia:AA)を含む骨髄不全症患者においてもテロメア長が有意に短縮していることが明らかになっています。
テロメア長の測定方法
テロメア長の測定ではさまざまな方法が確立されています。
1)サザンブロットによるテロメア制限フラグメント(terminal restriction fragment:TRF)分析
サザンブロット法によるTRF分析は最も古くから用いられている手法であり、キロベース単位で平均のテロメア長を直接推定することが可能です。制限酵素によってゲノムDNAを断片化したあとに得られる平均TRFを電気泳動により測定します。しかし本方法は測定に時間がかかり、多くのDNAを必要とします。また、テロメア領域に隣接するサブテロメアDNAの長さを含むために、実際のテロメア長を過大評価することがあります。
2)定量的PCR(quantitative polymerase chain reaction:qPCR)法
qPCR法は、DNAサンプルの単一コピー遺伝子に対するテロメア反復コピー数の比率(T/S比)を使用して、所定のサンプルのテロメア配列の平均含有量を決定することによってテロメア長を測定します。二本鎖DNA結合色素(SYBY Green)を使用したPCR増幅により、ゲノム単一遺伝子と比較したテロメアは配列を定量します。
本法のメリットは少量のDNAで実施可能であり、一度に多数のサンプルを解析可能なことです。しかし再現性にバラツキがみられます。
3)フローサイトメトリーによる蛍光in situ・ハイブリダイゼーション(flow-fluorescent in site hybridization:flow-FISH)法
flow-FISH法は血液細胞や培養系細胞のテロメア領域にハイブリダイズする標識ペプチド核酸(peptide nucleic acide:PNA)プローブを用いて、FISHとフローサイトメトリーを組み合わせた方法です。
flow-FISH法の利点は、血液細胞であればT細胞、B細胞、単球、NK細胞などそれぞれの分画ごとにテロメア長の測定ができることにあります。サザンブロット法と比較した場合、flow-FISH法はqPCR法より感度、特異度が高いと報告されています。
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