1)病態進行のモニタリング
病態進行のモニタリングは、腫瘍負荷とctDNA量との相関性を利用します。これは、最初期の研究で提案されており、デジタルPCRを用いると、従来の癌バイオマーカーと比較して遜色のない情報が得られます。特に興味深い応用は、分子標的薬の耐性変異を指標とした獲得耐性のモニタリングです。EGFR-TKIの場合、約半数の患者はEGFR上のT790M変異により耐性となります。T790M変異の出現により耐性出現をモニタリング4できます。また、抗EGFR抗体の場合は、KRAS(Kirsten rat sarcoma viral oncogene homolog)変異の出現により獲得耐性をモニタリングできます。ただし、血清バイオマーカーと異なり測定単価が高いため、少数の測定点で情報を得る必要があります。また、標準の画像診断との比較で有用性を立証する必要があるため、実用化のハードルは高いといえます。
2)術後残存病変のモニタリング
腫瘍摘出手術後、ctDNAは急速に消失します。しかしながら、腫瘍組織が残存していると消失しないため、ctDNAのより術後残存病変の有無を診断できます。ステージ2大腸癌患者230症例の前向き試験で、術後ctDNAが検出された症例は高率に再発しましたが(79%)、検出されなかった症例はほとんど再発しませんでした(9.8%)。手術前後の2測定で必要情報が得られるため、実用化のハードルは低いと考えられます。
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