') ?>
先天性角化不全症(dyskeratosis congenita:DKC)は、テロメラーゼ複合体遺伝子異常によって発症するまれな先天性骨髄不全症候群です。古典的な皮膚粘膜の3徴候(爪の萎縮、皮膚色素沈着、口腔内白板症)に加え、精神発達遅滞、肺線維症、肝硬変、食道狭窄、悪性腫瘍など多彩な臨床症状を示します。爪の萎縮と皮膚色素沈着は10歳までに出現し、骨髄不全は30歳までに80%の症例にみられます。
扁平上皮癌、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病などの癌の発症率が高く、DKC患者の40〜50%が50歳までに癌を発症するとされています。
扁平上皮癌、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病などの癌の発症率が高く、DKC患者の40〜50%が50歳までに癌を発症するとされています。
遺伝形式はX連鎖劣性遺伝が35%、常染色体優性遺伝約15%、常染色体劣性遺伝が数%にみられますが、残りの半数近くが形成不明です。
これまでにDKCの原因遺伝子として少なくとも13の遺伝子(DKC1、TERC、TERT、NOLA3、NOP10、NOLA2、NHP2、TINF2、WRAP53、TCAB1、CTC1、RTEL1、ACD/TPP1、PARN、NAF1、STN1)が同定されています。低身長、小脳低形成、小頭症、網膜症などを呈するHoyeraal-Hreidarson症候群、Revesz症候群においてもテロメア長の著しい短縮と同様の遺伝子変異がみられることから、これらの疾患はDKCの重症型と考えられています。
臨床的には、古典的3徴候のいずれかと汎血球減少がみられる場合には比較的容易に診断可能ですが、実際にはこれらの身体的特徴がそろわない場合も多く、症状が多彩かつ重症度もさまざまであるため、その多くは臨床症状のみからの診断は困難です。慢性的な中程度の汎血球減少または血小板減少は本症を示唆する特徴ですが、特的ではありません。DKC患者細胞のテロメア長は多くの場合、著明に短縮しており診断補助のための検査として末梢血リンパ球を用いたテロメア長の測定が有用です。また身体的特徴を有さない骨髄不全症患者にたいしても、診断時にはテロメア長を測定すべきとされています。
▽テロメラーゼ複合体遺伝子異常とDKC のキーワード
▽次の記事、前の記事
サイトについて
このサイトは「健康診断・血液検査MAP」の新規記事を掲載しています。 過去の記事はこちらから閲覧できます。当サイトのRSS
新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP2