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血漿DNAの量は10ng/mL以下と微量であり、このうち腫瘍由来のctDNAは通常0.1〜1%の低頻度で含まれています。進行癌・再発癌など腫瘍細胞量が多い場合や細胞分裂速度が大きい場合、細胞死も増えctDNAは増加します。
ctDNA量は血漿DNA全体に対する変異DNAの割合(変異アリル頻度)として測定されます。正常細胞由来の血漿DNAが増加する状態では、ctDNAは希釈され、より低頻度となるため注意が必要です。
患者状態の要因として、全身性炎症や手術直後などは増加した白血球から放出されるDNAが増えるため、ctDNAは低頻度になります。また、採血管内でも時間経過とともに白血球の崩壊により遊離DNAが増加するため、採決後速やかな血漿分離は必要になります。このような血球成分の破壊を抑制する試薬を含んだ血漿DNA保存用の採血管も各社から販売されており、採決後常温で1〜2週間の放置後も血漿DNAの増加が少ないことも示されています。
ctDNAの検査方法は、次世代シーケンサー(NGS)に基づく方法とPCR法に基づく方法の2つに大別されます。NGSによるctDNA解析では多数の変異の他、コピー数変化、遺伝子融合など包括的な遺伝子異常のプロファイルが可能であり、がんの診断、治療根拠となる遺伝子異常の検出などスクリーニングに優れています。NGSの弱点としては、高額であること、PCRや誤読によるエラー率が高いことが挙げられます。
一方、既知の変異については変異検出用プローブを用いたPCR法に基づく高感度検査が行われています。肺癌診療ではリアルタイムPCR法を用いたコバスEGFR変異検出キット(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、大腸癌診療ではBEAMing法を用いたOncoBEAMtmRAS CRCキット(シスメックス社)がctDNA検査として使用されています。これらの検査は疾患で変異頻度の高い遺伝子変異のみを対象とし、2021年8月現在は患者一人に付き1回と制限されています。デジタルPCRは0.01%の変異アリルの検出が可能であり、低コストで簡便であることから繰り返し検査による腫瘍量モニタリングに適しています。また患者特異的変異に対するプローブを作成することで、レア変異による個別の患者モニタリングも可能です。
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