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ctDNA検出 腫瘍特異的変異以外の配列異常

ctDNA検出において、分子バーコード技術を用いても以下の塩基配列異常は除くことができません。

ctDNA検出 腫瘍特異的変異以外の配列異常

ctDNA検出において、分子バーコード技術を用いても以下の塩基配列異常は除くことができません。
1)DNA損傷による塩基置換
細胞内あるいはDNA調製中のDNA損傷のため塩基置換がおこる、主に8-oxoguanineによるtransition(C>T、G>A)とcysteine deaminationのよるtransversion(C>T、C>A)です。
2)正常細胞の変異
これまでの研究でも健常人の血漿DNAからの変異が報告されてきましたが、測定過程のアーチファクトなのか真の変異なのかわかりませんでした。しかし、高精度の検出技術(duplex sequencing)を用いた研究により健常人の細胞(腹水、末梢血)に低頻度ですが変異が存在することが確認されています。

これらの変異の原因の1つとして、クローン性造血(clonal hematopoiesis of indeterminate potential:CHIP)があります。加齢に伴って認められる現象で、血液系腫瘍やアテローム性動脈硬化性心血管疾患と関連している可能性があります。血漿DNAの配列解析では低頻度の変異も検出されるので、血液細胞クローンが少数でも、クローン特有の変異が検出されてしまいます。これらの配列異常は測定工程での除去は難しいので、データ処理で除去することになります。NewmanらによるiDES(integrated digital error suppression)では、正常細胞ゲノムの次世代シークエンシングによる配列のデータベースを作成してDNA損傷の入りやすい部位を特定、DNA損傷による塩基置換を推定しています。iDESはDNA損傷に関してはある程度効果がありますが、正常細胞の変異への対応は難しく、腫瘍細胞変異をデータベースに無登録あるいは低頻度のエントリーを腫瘍細胞由来の変異ではないとして除去している研究者もいます。正常細胞の変異はctDNA検出の根幹にかかわる問題で、慎重な対応が必要です。

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