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活性酸素種と酸化ストレス

酸化ストレス(oxidative stress)とは、生体内で生成される活性酸素種の酸化損傷力と抗酸化システムの抗酸化力との差として定義されます。

活性酸素種と酸化ストレス

細胞の生理機能の発現には、tonic(緊張性)に活性酸素(reactive oxygen species:ROS)と活性窒素(riactive nitrogen species:RNS)が生成される必要があります。ROS/RNSは情報伝達、細胞小器官機能、エネルギー産生、不要細胞・侵入異物処理などに際して必須の分子です。
酸化ストレス(oxidative stress)とは、生体内で生成される活性酸素種の酸化損傷力と抗酸化システムの抗酸化力との差として定義されます。ROS/RNSが過剰に過剰に生じた場合、これらの活性種が生体の構造や機能を担う脂質・蛋白質・酵素、遺伝情報を担う遺伝子DNAを損傷し、組織・臓器を傷害して疾患を引き起こします。このようにして酸化ストレスが増幅するという悪循環が起き、疾患が進行したり障害が多臓器に及んだりします。生体は臓器ネットワークを駆使して酸化ストレス亢進に対処しますが、ストレスが重度であったり遷延持続したりした場合に臓器障害が進行します。

酸化ストレスマーカー
ROS/RNSの生成と消去は抗酸化システムにより精妙に制御されますが、多くの疾患の進展に”酸化ストレス亢進”あるいは”レドックス制御破綻”が関与します。そのため、酸化修飾あるいは障害を受けた生体成分を計測することで、生体の酸化ストレスレベルを精確に評価することができます。酸化ストレスの生体マーカーとしての要件については、生体内で蓄積されにくく、代謝されずに比較的安定なものであることが望ましいとされています。
臨床における生体マーカー計測の利点として以下の4点が特に重要です。
1)非〜低侵襲的に治療効果を評価できる(患者に優しい継続的評価)
2)生体応答の観点より病態を解析できる(合理的な集学治療)
3)モデル動物で同様のマーカーを計測できる(双方向性の橋渡し研究に最適)
4)迅速検査を応用できる(早期に適切な見極めが可能)

また、各疾患で”っ抗酸化薬”が臨床適応されるためには以下の条件が必要です。
1)その薬物が細胞・組織・臓器レベルで抗酸化性を示す
2)疾患の発症や悪化に酸化ストレスが関与する
3)その薬物が疾患モデルで有効である
4)その薬物がヒトで使用実績がある
5)ヒトを対象にして臨床試験が実施される
この5条件を満たし臨床現場で活用されている薬物としては、脳神経領域でのエダラボン、心血管領域でのHMG-CoAK還元酵素阻害薬、腎臓領域でのアンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンI型受容体阻害薬が知られています。
酸化ストレスマーカー計測は上記の1)〜5)の全てで”橋渡し”になります。

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