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腫瘍マーカーとは、癌細胞から特異的に産生される腫瘍細胞関連物質です。大量に産生され異常高値を示す場合は、悪性腫瘍の存在が極めて濃厚に示唆されます。悪性腫瘍以外でも上昇することがあり、軽度上昇の場合は、画像などに問題がみられなくても経過観察が必要です。
膵腫瘍の代表である膵癌は上皮由来の腺癌であり、腫瘍マーカーとして、腺癌に比較的特異度の高い癌胎児性抗原(CEA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、DUPAN-2、Span-1などが用いられます。
・癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen:CEA)
CEAは全身検索で最もよく用いられる腫瘍マーカーの1つであり、正常成人の管腔臓器の粘膜組織でも産生されることが知られています。単独検査では悪性腫瘍に対する陽性率および臓器特異性も低くなります。また、膵癌での陽性率は45%とされ、擬陽性を示す場合もあるため、他の検査との併用が必要となります。喫煙や糖尿病などの非腫瘍性疾患の場合でも上昇します。
・糖鎖抗原19-9(carbohydrate antigen 19-9:CA19-9)
CA19-9は膵腫瘍、主に膵癌では80〜90%の陽性率を示します。多発転移や腹膜播種を示す例では異常高値となることが多いとされています。ステージ1の小膵癌では他のマーカーより陽性率は高くなります。膵癌以外の癌腫でも上昇し、現在、臨床上最も一般的に測定されている腫瘍マーカーの1つです。慢性膵炎や胆管炎、閉塞性黄疸、胆嚢炎などでも上昇します。糖鎖であるCA19-9の抗原決定部位がシアリルLewisAとされ、日本人の約5〜10%に存在するLewis式血液型がLea-b-の患者ではCA19-9は陰性となり、マーカーとしては使用できません。
・SPan-1(s-pancreas-1)
SPan-1は膵癌においてCA19-9と同様の陽性率を示します。SPan-1はシアリルLewisAのみならず、シアリルLewisCとも交差反応性があることから、Lea-b-の患者でも陽性をみることがあり、この点で有用とされています。CA19-9に比べて慢性膵炎での擬陽性率は低く、良性肝疾患に対する擬陽性率はCA19-9よりも高いとされています。
・DUPAN-2(duke pancreatic monoclonal antigen type2)
DUPAN-2は膵胆道癌の診断や術後経過に良く測定されます。シアリルLewisCの糖鎖末端の構造をとるため、シアリルLewisAを産生できないLea-b-の患者においても産生されCA19-9とは交差を示さないためCA19-9陰性癌患者での測定に高い意義があります。
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