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慢性膵炎の診断に必要な検査

代償期には間欠的腹痛に伴い血中膵酵素の反復性の上昇を認めます。血中酵素の測定には膵特異性の高いアミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1などを用います。

慢性膵炎の診断に必要な検査

・血中酵素
代償期には間欠的腹痛に伴い血中膵酵素の反復性の上昇を認めます。血中酵素の測定には膵特異性の高いアミラーゼリパーゼエラスターゼ1などを用います。血中アミラーゼは他の膵酵素に比べて急性症状後には速やかに低下し、異常高値が持続する時間が短いため、発症から診断までの時間が長期にわたると、すでに正常化している場合もあります。
血中酵素の上昇が持続する場合には、膵石の主膵管嵌頓に伴う尾側膵管の拡張や仮性嚢胞など、膵液のうっ滞を示唆します。非代償期となり、膵外分泌機能不全陥ると血中膵酵素は異常低値を呈することがあります。

・膵外分泌機能検査
膵外分泌機能には有管法としてセクレチン試験や膵液採取法が、無管法として便中キモトリプシンなどがありますが、現在、BT-PABA試験が保健適用であり、臨床的に施行されている唯一の膵外分泌機能検査です。
BT-PABA試験(PFD test)はキモトリプシンによって分解される分子量402.42の合成ペプチドであるベンチロミドを服用し、ベンチロミドがキモトリプシンで加水分解されて生じたパラアミノ安息香酸(PABA)が小腸で吸収され、肝臓で抱合された後、尿中に排泄されるのを測定する検査です。「慢性膵炎臨床診断基準2009」においては、6時間排泄量70%以下の明らかな低下を複数回認めることとされています。
スクリーニングで行われる検査では、アルブミン、総コレステロール値が低値を示し、栄養障害が生じていることが示唆されます。さらに、レチノール結合蛋白やプレアルブミンのような代謝回転の速い蛋白質も低値を示します。

・膵性糖尿病
膵外分泌機能障害に比べて、内分泌機能障害は慢性膵炎においてさらに遅い病期に顕在化します。膵性糖尿病は膵ランゲルハンス島の障害によるため、β細胞由来のインスリンだけでなく、α細胞由来のグルカゴンの分泌も低下します。
インスリン分泌能の評価には、経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)による血中インスリン値やCペプチド(connecting peptide immunoreactivity:CPR)測定などが用いられます。内因性インスリン分泌能を測定する方法としては、グルカゴン負荷試験が有用です。グルカゴン分泌能の評価にはアルギニン負荷試験が有用です。

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