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慢性膵炎の診断は、日本膵臓学会の提唱する「慢性膵炎臨床診断基準2009」によって行います。
1)特徴的な画像所見、2)特徴的な組織所見、3)反復する上腹部痛発作、4)血中または尿中膵酵素値の異常、5)膵外分泌障害、6)1日80g以上(純エタノール換算)の持続する飲酒歴、の6項目の組み合わせで診断します。この診断基準には画像所見と組織所見に確診所見と準確診所見が設けられており、いずれかが認められる場合、慢性膵炎確診。準確診の診断を下すことができます。
慢性膵炎の診断項目
1)特徴的な画像所見
・確診所見:以下のいずれかが認められる
a 膵管内の結石
b 膵全体に分布する複数ないしび漫性の石灰化
c ERCP 像で、膵全体に見られる主膵管の不整な拡張と不均等に分布する不均一(*1)かつ不規則(*2)な分枝膵管の拡張
d ERCP 像で,主膵管が膵石、蛋白栓などで閉塞または狭窄している時は、乳頭側の主膵管と分 枝膵管の不規則な拡張
・準確診所見:以下のいずれかが認められる
a MRCP において、主膵管の不整な拡張と共に膵全体に不均一に分布する分枝膵管の不規則な拡張
b ERCP 像において、膵全体に分布するび漫性の分枝膵管の不規則な拡張、主膵管のみの不整な拡張、蛋白栓のいずれか
c CT において、主膵管の不規則なび漫性の拡張と共に膵辺縁が不規則な凹凸を示す膵の明らかな変形
d US(EUS)において、膵内の結石または蛋白栓と思われる高エコーまたは膵管の不整な拡張を伴う辺縁が不規則な凹凸を示す膵の明らかな変形
2)特徴的な組織所見
確診所見:膵実質の脱落と線維化が観察される。膵線維化は主に小葉間に観察され、小葉が結節状,いわゆる硬変様をなす
準確診所見:膵実質が脱落し、線維化が小葉間または小葉間・小葉内に観察される
4)血中または尿中膵酵素値の異常
以下のいずれかが認められる
a 血中膵酵素(*3)が連続して複数回にわたり正常範囲を超えて上昇あるいは正常下限未満に低下
b 尿中膵酵素が連続して複数回にわたり正常範囲を超えて上昇
5)膵外分泌障害
BT-PABA 試験で明らかな低下(*4)を複数回認める
早期慢性膵炎の画像所見
a,bのいずれかが認められる
a 以下に示すEUS 所見7 項目のうち(1)〜(4)のいずれかを含む2項目以上が認められる
(1)蜂巣状分葉エコー(Lobularity,honeycombing type)
(2)不連続な分葉エコー(Nonhoneycombing lobularity)
(3)点状高エコー(Hyperechoic foci:non―shadowing)
(4)索状高エコー(Stranding)
(5)嚢胞(Cysts)
(6)分枝膵管拡張(Dilated side branches)
(7)膵管辺縁高エコー(Hyperechoic MPD margin)
b ERCP 像で、3本以上の分枝膵管に不規則な拡張が認められる
解説1: US またはCT によって描出される1)膵嚢胞,2)膵腫瘤ないし腫大および、3)膵管拡張(内腔が2mm を超え、不整拡張以外)は膵病変の検出指標として重要である。しかし、慢性膵炎の診断指標としては特異性が劣る。従って、1)2)3)の所見を認めた場合には画像検査を中心とした各種検査により確定診断に努める
解説2
*1“不均一”とは、部位により所見の程度に差があることをいう
*2“不規則”とは,膵管径や膵管壁の平滑な連続性が失われていることをいう
*3“血中膵酵素”の測定には、膵アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1 など膵特異性の高いものを用いる
*4“BT―PABA 試験(PFD 試験)における尿中PABA 排泄率の低下”とは、6 時間排泄率70% 以下をいう
解説3:MRCP については
1)磁場強度1.0 テスラ(T)以上、傾斜磁場強度15mTm 以上、シングルショット高速SE法で撮像する
2)上記条件を満足できないときは、背景信号を経口陰性造影剤の服用で抑制し、膵管の描出のため呼吸同期撮像を行う
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